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その後思わず3回くらい聞き返してしまったが、彼女は本当にAのお母さんらしい。
名前は百合子さん。百合子さんって呼んでねと言われた。
御丁寧に年齢まで教えて下さったが実年齢を聞いてもそうは見えない。
Aに小声で「アポトキシン4869でも飲んだのか…?」と聞いてしまったのは仕方ないだろう。バカなんですかと呆れた目で返されたが俺は悪くない。
「Aも透さんもお昼まだよねー?ご飯作っといたのよ!食べましょう!」
人当たりのいい笑顔でそう言ってくれた百合子さんに、Aは目をぱちくりさせる。
『え?お母さん料理できるようになったの?』
「ええ!おかずはデパ地下で買ったから作ったのはサラダだけだけど!」
『草ちぎるだけじゃん!!!』
スパァン!と容赦ないハリセンの音が響いた。
嘘だろあのAがツッコミに回ってる…
確実にAのDNAを感じる。ていうか色々似すぎだろう。
百合子さんはケラケラ笑いながら冷蔵庫を開ける。そして「あっ」と声を上げた。
「ドレッシング買ってくるの忘れちゃった!」
『サラダすら満足に作れてないじゃん!!!』
「A買ってきて!」
『せめて来る前に言ってよ!!』
「大丈夫!隣のコンビニにあるから!」
もう!と言いながらAがハリセンでもうひと叩き。仲良いんだろうな、となんとなく思った。
そして財布を持って玄関に向かうAについて行こうとした時だった。
「あ、透さんは私と一緒にお料理の盛り付けしてもらってもいいかしら?」
「え?」
予想外の言葉に目を丸くする。え、嘘だろこのタイミングで2人になるのか!?
Aのほうに視線をやれば、何故かコクリと頷かれた。
『なにかあればこれを』
「い、いやハリセンなんか渡されても…」
『大丈夫です、あの人イケメンに叩かれるの好きなんで』
「えぇぇ…」
そんなの今知りたくなかった。
まぁ確かにドレッシング買うのに2人もいらないけど…
それじゃ、とAがドアから出ていき、落ち着いていた緊張がぶり返し出す。
その時、ローストビーフを手にした百合子さんがニッコリと笑ってこんなことを言い出した。
「実はね、隣のコンビニはドレッシング置いてないのよね」
「…へ?」
「1キロ先のスーパーまで行かないとないの。あの子は察しがいいからきっとしばらく帰ってこないわ」
彼女は仕事中のAを彷彿とさせる妖艶な笑みを浮かべ、言った。
「少しお話しましょうか、安室透さん」
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時