検索窓
今日:5 hit、昨日:167 hit、合計:662,043 hit

03 ページ24

「A、さっきのは…」

『わかってますよ、仕事でしょ?』

「……っ」


早足でこっちに寄ってきた彼をかわすように、さり気なくリビングの方へ移動する。

私に一言で片付けられてなにも言えなくなった彼は、私の目の前に来た。


「…怒ってないのか?」

『なんで私が怒るんですか』

「A、本当のこと言って」

『だからなんとも思ってないですって。大丈夫ですよ、わかってます』

「じゃあなんでさっきから俺の目を見ないんだ」

『……』


…いつの間にか私は随分嘘をつくのが下手になっていたらしい。

いくら笑顔を作ったところで目を合わせなければバレるに決まってるじゃないか。

ソロリと目線を上げる。

こんな時にまで綺麗すぎるブルーの瞳と絡まって、息が詰まった。

目が合った瞬間、抱いてしまった真っ黒な感情が、醜い感情が、全部全部彼に伝わってしまいそうで。


『〜〜っ』


我慢出来なかった。見られたくなかった。気づけば玄関に向かって駆け出していた。

けれどこんな至近距離で逃げれるわけがない。サンダルを引っ掛けた私の腕を彼が強く引く。


「おい!待てよA!!」

『離してください!』

「離すわけないだろ!ちゃんと聞けよ!」

『やだ!聞きたくない!!』

「A!!」


私の手を握った彼から顔を背けた。

こんな思いのまま、どうやって顔を合わせろって言うんだ。


『お願いだから…今は1人にして下さい…っ』

「……っ」


零さんの手の力が緩む。

振り払って部屋から飛び出した。


なにやってるのよ本当に…!こんなのあの人の嫁失格だ。めんどくさい女にだけはなりたくなかったのに。

あなたにふさわしい私であるようにって、思ってたのに。

隠すことすらできなかった。きっと伝わってしまった。賢い彼ならわかってしまっただろう。

サンダルのままで夜道を走る。今日は走ってばっかりだ。運動は苦手だというのに。

それでも歩いてなんかいられなくて、唇を噛んで駆け続けた。

04→←02



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (797 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1961人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。