(28)匂い ページ29
目が覚めたら、あの熱のときの独特なズキンっていう頭の痛さに襲われる。
いたたたた……
え?待ってここどこ。
あー……熱出るわ大雨に打たれるわで死にかけてたのを宇髄先生に拾われたんだっけ私。
布団からほんのり宇髄先生の匂いがする。
ほら、あの例のパーカーのとおんなじ。
おでこにはご丁寧に冷えピタまで貼られていた。
私のあまりにも高い体温のおかげでもう温くなって剥がれかけてるけど。
と、その時部屋のドアが開かれる。
タイミングバッチリだよ先生!ナイス!
「お、起きたか」
真っ暗だった部屋に、廊下からの光が射し込んで宇髄先生の顔が見える。
あのギラギラ眩しい額当ては外されていて、目が眩む心配がなくてとりあえずひと安心。
あれ光に反射したら眩しいんだよ、ほんとに。
長い髪も後ろで結ばれてるし、スウェットにTシャツというもうザ・部屋着。
気持ちはわかるよ。
私も家にいるとき芋女極めてるから。
「いま何時?」
「えーと、22時前。」
えっ。ええっ。
何時間寝てたの私。
まだ頭クラクラするしもう少し寝られる気さえする。
大丈夫だよねこれ。
この後一生目覚めないパターンとかないよね。
そんな私を他所に、先生は時間を確認するために取り出したスマホをスウェットのポケットしまい、代わりに体温計を差し出す。
「ほれ、熱計ってみ」
体温計を受け取り、ネックラインから滑り込ませて脇に────────
え?
「服…」
あの肌に張り付いたびっしょびしょのブラウスを着ていたはずが、Tシャツに変わっていた。
我ながらあれはブラ透けてた自信ある。
それどころじゃないぐらいびしょ濡れだったからさ。
「あ、悪ぃ。着替えさせた」
「色々ありがとうございます……」
お世話になりすぎて少し恐縮。
にしてもこのTシャツ先生のだよね。
デカいです!!!!!
「安心しろって。何も見てねぇから」
「嘘だ。こないだパンツ見られた」
「言い方に語弊ありすぎだろ!あれは不死川の担ぎ方が悪いどう考えても。
あ、ちなみに黒」
「はっ倒す」
一応病人なんですけどね、私。
「目もまだしんどそうなのに口だけは元気だな」なんて言われるけどいやいや誰のせいだよ。
と、私の脇に挟んだ体温計が音を立てた。
.
1353人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絵宙(えそら) - (伊黒先生可愛すぎる…言ったら殴られるかネチネチ攻撃されるけど)←※これは心の中です。 (2020年4月22日 15時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
零華 - ポテ岡義勇で腹筋崩壊したよ☆昨日今日で何回腹筋死滅するんだろうか....(;-;)ピエン (2020年4月22日 15時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 何かを心配する伊黒先生は笑えるwそして、さねみんのシュークリームを食うのは、さすがに気もが座りすぎだと思う(((ToT)))ガクブル (2020年4月21日 21時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - あああ、すこだ、これはすこ。すこすこのスコティッシュフォールドだ。 (2020年4月21日 14時) (レス) id: 48dd1996d3 (このIDを非表示/違反報告)
(*・*) - できちゃった系? (2020年4月20日 16時) (レス) id: 95accb8743 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜 | 作成日時:2020年4月6日 16時