輩先生と純情びっち【鬼滅の刃】

（27）甘えかた ページ28

助手席に座る綾瀬に、自分の上着をかけてやる。


まさか7月に車の暖房使う日がくるなんてな。車もびっくりだ。




「寒くないか」


「…ん」






普段あんだけうるさい奴が急にこうなるとこっちの調子が狂う。



コンビニを出て、車を走らせる。


さすがに前の場所で下ろすわけにはいかねーなぁと思っていた時に、ふと不死川の言葉を思い出した。






「綾瀬、いま家に誰かいるか？」


「んー、いない」





別にわざわざ聞きやしねぇけど、一人で暮らしてるんだろ？



どんだけ大人びていてもまだ17だ。


さすがの俺でも高熱ある高校生を一人の家に帰せるほど気が利かない人間じゃない。







「俺の家行くからな」


「迷惑かけてごめん」


「気にすんな。

さすがに今のお前の状態で一人にさせるわけにはいかねぇし」





らしくないことばかり言いやがる。


たまには人に甘えろっての。






「そんだけ熱あったらしんどいだろ。

寝てていいぞ」


「ありがと、」






そこから寝息が聞こえるまでさほど時間はなかった。





明日が休みで助かった。

私立学校だから土曜日の今日でも授業はある。


一日で治ればいいんだが。





でもまだ若干息が浅く、身体は小さく震えていた。




てか俺の家大した材料も薬もねぇぞ。


滅多に身体壊さねぇし、壊したとしても寝てりゃ治る派人間だし。





「はやく治せよー……じゃねぇと俺の調子が狂うから」





小さく放った声は、彼女の寝耳には届かなかった。







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