輩先生と純情びっち【鬼滅の刃】

（20）二者面談 ページ21

「で、どーすんだァ。進路は」



手元で成績とかの資料をペラペラ捲りながら、目の前でグダる綾瀬にひと声かける。


こいつも暑さにやられてんのかバッテバテ。

いつもよりブラスのボタン開いてる数多いけど、冨岡に怒られても知らねェからな俺は。




「教室あっつい」


「エアコン付けやってるじゃねェか」


「なにか飲み物恵んでください……」




とか言って両手差し出してくる図々しい奴。



でも割とガチで顔火照ってたから俺が飲むはずだった新しいペットボトル飲料を手渡す。


で、これまた俺が飲むはずだった冷たい缶コーヒーを首に置いてやると「生き返るー！」と叫ぶ綾瀬。うるせェ。





「その体制でいいからさっさと答えろ。

進路どーすんだよ綾瀬。まだ進路希望提出してねェのてめぇだけだぞ」


「んー……進学はしなーい」


「それはずっと言ってんなァ」





中学までは、大学行く気があったらしいが高校上がった瞬間これだ。


たしかにもうこれ以上勉強したくねぇ気持ちは分からなくもないが。





「進学しねぇなら就職か？」


「今のバイト先に就職していいよって言われたからたぶんそこで働く」





テキトーな奴め。



就職するならするで学校に色々求人来るし就活担当の先生もいるからちゃんとさせねーとな。


こんな奴だがせめて近い将来だけはちゃんとしてやりてェ。


割とすぐに結婚して「寿退社しましたー！」とか報告しに来そうだが。





「綾瀬どこでバイトしてんだ？」


「えー秘密う」


「気色悪ィ声出すな」




よくこいつの口からバイトの話が出るが実際どこでバイトしてんのかは聞いたことがない。


って言ってもウチの学園はバイト禁止なんだがな。




「そこに就職するならちゃんと手続きとか学校介さねーとなァ」


「え、なんで」




バッと頭が上がる。


綾瀬の手で首に当てられてた缶コーヒーが結構強めの音を立てて机に置かれた。


それを手に取るともう体温で温くなってる。クソ。





「当たりめェだ」


「進路未定のまま卒業ってことにしててよ」


「頼むから俺の心配事を増やすなァ」





え、さねみん優しい。と頬をつついてきたその小さな手を捻るとこれでもかというほどの悲鳴をあげる。


大袈裟なんだよてめぇは。

他クラス保護者来てるんだからやめてくれ。



３年蓬組０１番 綾瀬A


仕方なく就職希望に丸をつけ、就職先未定と書き加えた。




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