【男主】魔王さまお逃げなさい！【BL】 (ページ25)

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第22話　~たまには役だつ腐女神~　ページ25

フィントェルside

にいさまが消えた
いちばんのぼくだけの
にいさまが目の前から消えた

目を覚ますと、
そこは広大な屋敷でそこにぼくはいた

その広大な屋敷に
独り寂しく住むのは女神さまだった

ぼくのにいさまを返してと喚いても口角をあげにんまりと笑う女神さま

さいしょは憎悪の固まりでしかなかったけれど、
いまは少ししか嫌いじゃない

でも好きではない
…ほんとはたくさんきらい

でもそんな女神さまにも良いところがあって、ぼくのにいさまの話をちゃんと聞いてくれたり
ぼくが望むときはおおきな水晶玉でにいさまのいまを見せてくれた

手をのばせば
愛しいにいさまの愛しい手に、
手が届きそうなほどリアルなのに
手をのばしてもにいさまはいなくて冷たいガラスのさわり心地が余計に悲しくなる

はやく逢いたいな、にいさま

＊＊＊十数日後＊＊＊

数日もたつと
ぼくはおかしくなったみたい

にいさまをずーっと監視していないといきてけないの
にいさまがぼくの目にうつらないと悲しくなるの

にいさまだけで溢れて
にいさまと寂しさに潰されそう

おてあらいにいくときも、
水晶玉を持っていて監視する

ぼくはもう14ぐらいになるけど
おといれが怖くて、
いつもにいさまと一緒にいた

にいさまの目の前で頑張って
きたないことをしたら、
にいさまは褒めてくれた

…また褒められたいな
これがにいさまと繋がってて
ぼくの恥態をみてほしい

にいさまにいさま

ああ愛しいにいさま
ぼく、にいさまにまたあえたのなら
たくさんたくさん甘やかしてもらうからね

たくさん、たくさん抱き締めて
にいさまがいないとこわい

ただにいさまがお怪我をしないように
祈りながら、
水晶玉を抱き締めて眠る

にいさまににいさま逢いたいよ

『フィントェルくん』

『…にいさまあ

あっ、ナンですか……』

『きみにプレゼント…貰って？』

……なにこれ
かがみ……？？？

『これは君のすきなにいさまと
繋がれる魔法石だよ
魔法鏡みたいでしょ…
触って、声をかけてみてよ…ね？』

『…ありが、とうございま..す
め、がみさま』

知らず知らずのうちに
瞳から涙が溢れる