09→ヒーロー ページ10
何とも言えぬぎこちなさを感じさせる会話。
それが終わると沈黙が流れた。
気まずさを感じて私は恐る恐るながらも口を開く。
「緑谷君はどうして、ここに？」
「あの、リカバリーガールが痛み止めが切れたからって…」
どうやら要件があるのは緑谷君では無く、
女性看護教諭のリカバリーガールだった様だ。
無論、素人に薬を調合させる訳は無い。
痛み止めと言うよりはそれを作る為の材料の事。
材料は外部から仕入れるよりも私の個性の方がお金や手間も掛からない。
その協力もあって私の研究はかなり自由勝手となっている。
「……痛み止めかぁ」
しかし現状ではその痛み止めの材料を渡す事がが難しい…
個性を使って一瞬で生やすにしても、
人に使うものなら安全確認は絶対条件である。
それを確認する器具が全てあの葉が生い茂る研究室の中なのだ。
思わず私は苦笑いを浮かべ彼の言葉を繰り返す。
「何か、あったの？」
「ぃゃ……うん、それがね…」
躊躇したものの解決策が現状無い為から、
これまでの経由を簡潔的ながらも説明する事にした。
「…相澤先生の個性なら、出来るんじゃないかな？」
「僭越ながら前やらかした時に相澤先生の個性は効きませんでした…」
解決策を出してもらうも既にそれは効かないと実証済みである。
緑谷君も他に浮かぶものが無かったのか呆然としていた。
「……て、手伝うよ…」
「有難う、緑谷君…」
授業が始まるギリギリまで手伝ってくれました。
緑谷君は是非ヒーローになって貰いたい。
殆ど見ず知らずと変わりない私を助けてくれたのだから…
「(彼も、助けてくれたよね…)」
ヒーローみたいで格好良かったな…
なんて思い出に浸る前に私は自身の失態を思い出す。
私はあの時逃げて、その挙句お礼すら言えてないんだ。
うん、次の機会には絶対にお礼しなきゃ…
そう思いながら私は黙々と手を動かす。
しかしながら思ったのだ。
「(どうやってお礼しよう…)」
ヘタレとも言える私に出来るの？
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作者名：自宅警備員先生 | 作成日時：2017年10月16日 18時
