17→いちごオレ ページ18
ひんやりした心地良い温度が頬に当たる。
それが段々と現実味を帯びて来た所で私は目を開く。
「ぁ……れ…？」
甘い香りがして私は空気を嗅ぐ、そこで全てを思い出した。
「実験は…！？」
バッと立ち上がると椅子が背後で倒れる音がした。
けどそれに目もくれず、私は匂いの元であろう鉢植えを見た。
そこには鉢植えサイズの桜の様な植物が満開とも言える様に華やかに咲いていた。
それを見た瞬間、私の心の奥からある感情が湧き上がる。
「っ出来た――！！」
喜びの一色で私はそう叫びガッツポーズをした。
□
「(今日は違うメニューでも食べて見ようかな…)」
なんて呑気な事を考えながら食堂へと向かう私。
その理由は実験が成功したから。
しかしこの後に待つ副作用等を調べる作業を思い出しその考えを改める。
うん、何時も通りサンドイッチで済ませて早く戻ろう…
後ろにも悪いと思い私はそそくさに頼み終えて、
サンドイッチの乗ったお盆を持って近くの空いた席に座る。
「(こんなに早く成功するなんて思わなかったなぁ…)」
一口分程度を口に含み咀嚼する。
その最中に研究の事を考えるのも何時も通り。
そしてサンドイッチも何時も通り美味しい。
この頃、色々あってこの様な日常を忘れていた気がする。
そんな事を考えながらサンドイッチに再び口を付けようとする。
すると残りのサンドイッチの横にコトッと何かが置かれた。
「(いちごオレ…？)」
それは紙パックのいちごオレ。
確か校内の自動販売機に売っていた気が…
そう思いながらも腕の伸びてきた方へと振り向く。
「とっ、と……轟君…？」
そこには紅白の髪を軽く揺らした轟君が居た。
え、何でいちごオレ？そして何故それを私に…？
私は驚きのあまりそれを口にする事なく彼を凝視する。
「昨日の礼…？」
「私に聞かれても…」
それを察したのか彼は返答するものの語尾にはハテナ付き。
その様子に軽率ながらも本音を口に出した。
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作者名：自宅警備員先生 | 作成日時：2017年10月16日 18時
