閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

期待 ページ5

冷蔵庫には沢山の飲み物に食べ物。



机には沢山のお菓子。



棚の中にはご丁寧に色んな本やカードゲームまで置いてある。




.....本当に、逃げること以外はなんでも自由にさせてくれるんだな。



私の行動を制限したいから閉じ込めてるってわけではなさそう。





「........ん？」





部屋を漁っていると、そこには1枚の写真があった。



私に真希に狗巻くん、パンダくんに乙骨くんが映っている。




これは確か......今年の4月に進級祝いとしてみんなで撮ったやつだ。



......なんだかすごく懐かしいな。




私達5人は本当に仲が良くて、お互いの些細な変化にもすぐ気づいて......





「.......あ、！」





そうだ。そうなんだよ。



私達はすぐお互いを心配し合う。



てことは、私が昨日の任務から一回も帰ってきてない、ということにも気づいてるはずだ。




それなら大丈夫だ。みんな異変に気づいて私を探してくれる。




......良かった。本当にどうなることかと思った。





すると途端に、窓の方から携帯のバイブ音が聞こえた。



え、これ私のスマホだ。



しかも乙骨くんから電話来てる。





「.......もしもし？」





私の声に対して応答はない。



もしかしてこれ、私からの音声ミュートにして聞こえないようにしてる？





『......で、棘のやつが昨日うるさくてさ』





携帯越しに真希の声が聞こえてくる。



.....やっぱりそうだ。



相手からの音声は聞こえても、私の声はあっちに届かない。





『お、憂太じゃねえか。今日はいつもより遅いな』



『しゃけ』



『うん。実はちょっと寝坊しちゃったんだよね』



『ふーん。ま、いつもろくに寝てねえしたまにはいいんじゃねえか？』





ただひたすらに流れてくる5人の会話。



....にしてもなんなんだ？この電話。



全く意図が読めない。



間違えてかけてきちゃったとか......？





『そういえば憂太。お前Aのこと知らねえか？』



『そうそう。昨日から一度も会えてねえんだよ俺たち。

憂太は昨日Aと任務一緒だったから、なんか知らねえかなって』



『........』





........来た。



やっぱり気づいてくれてたんだ、真希達。




これで逃げられる。これで、私達の歪んだ関係が元に―――





『.....失踪したよ。Aちゃんは』



『任務終わりに、行き先も伝えず一人で』

嘘→←弱い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す