閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

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「......ごめん。本当にごめん。

もっと早く気がついてればこんなことにはなってなかったかもしれないのに」



「君の大切な時間を奪ってしまった」





五条先生の白髪が靡いて、呆然としている私を優しく抱き締める。



壊してしまわないように丁寧に背中を擦られた。




ぽかぽかとした温かさが私を包む。



.....乙骨くん以外の体温を感じることなんて、もう出来ないと思ってたのにな。





「手足に鎖.......本当になんてことしてんだよ。憂太」



「大丈夫。今外すからね」





五条先生が触れた瞬間、あんなに頑丈だった鎖はいとも簡単に木っ端微塵になった。



擦れて真っ赤に腫れた手首と足首が露わになる。




空気に触れただけでジリジリと痛むそれは、

私がここに閉じ込められていた時間を表す物差しのようなものだった。





「今ここで治してあげたいとこだけど.....ごめん。僕は他人に反転術式が使えないんだ」



「早く硝子のとこに行って診てもらおう」





五条先生は私に、立てる？と肩を差し出した。





「.....Aが失ってしまったものは多い。それほどに残虐で、酷いことを君はされた」



「でも、死んでない。諦めずに生きてここにいる」



「失ったものはまた拾い直せばいい。新たなものを築き上げればいい。

君なら前を向ける。まだ若いんだから、先の未来があるよ」



「一緒にここから抜け出そう」





私を安心させるかのように、温かい笑みを向けられた。



怖かったはずの心は次第に溶けて消えていく。




深呼吸をして、差し出された肩を掴もうとしたその時、





「....っ、！！A！伏せて！！」





頭をガシッと掴まれて、地面に突きつけられた。



状況が理解できず頭が混乱する。




ただ、身に覚えのある呪力が私と五条先生の前にある、ということだけはしっかりと感じていた。





「.........僕のAちゃんに何してくれてるんですか？」



「―――五条先生」

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