変わらず ページ27
「........」
乙骨くんは黙り込んで、私の手をぎゅっと握った。
「Aちゃんは.....僕達の関係に、明確な名称が欲しいの?」
「この曖昧な関係が嫌だって言うなら、別に付き合っても良いんだよ」
「元より君と付き合いたくなかったわけじゃない。ただ気持ちが先走って、順序を間違えただけ」
「....でも、Aちゃんが言ってるのはそういうんじゃないんでしょ?だって君は―――」
「僕のことが好きじゃないかもしれないんだから」
寂しさが混じったような、そんな声で乙骨くんはぼそりとそう呟く。
.....てっきり、怒られるのかと思った。
そんな悲しそうな顔するだなんて、辛そうな言葉を吐くだなんて、思ってなかった。
「......不安でたまらないんだね。
ずっと好きだった人に対する感情が沸かなくて、恐怖しか感じなくて」
「自分で自分が分からなくなる。本当の想いが見えなくなる。....そうでしょ?」
「ごめんね。こんなことにするつもりはなかったんだ。苦しませたいわけじゃなかった」
頭を優しく撫でられた。
......あれ、なんだか少し温かいかもしれない。
こんな感情湧いたの、いつぶりだろう。
「不安でたまらないAちゃんに、1ついいことを教えてあげる」
「こんな状況になった今でも、多分君は変わらず僕のことが好きだよ」
「......え?」
何を、言ってるんだろう。
私は乙骨くんに対して恐怖しか抱いてないのに。
でもそう言う乙骨くんの目はやけに真っすぐで、全てを見透かしているかのようだった。
「君が僕への思いに気づいたその時、一緒にいたいと思ったその時、真っ先に僕に教えてよ」
「そしたら、一緒に付き合おう」
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!!完結おめでとう御座います。狂愛、ヤンデレや特にかん,なんきん系本当に大好きで尚且つストーリーも良くて、ストルック?と言いますか、ただ好きで自己的に戻ってくる凄く良かったです!!他作品も読ませて頂きます!是からも応援しております (3月9日 21時) (レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
金糖の少女 - ェッ、ヤダ乙骨パイセン閉じ込めてくださ(絶命)え、めちゃめちゃ言葉の言い回しすきです、言葉のチョイス神ってますか?神ってますね(自己完結)特に最初のつま先から頭のてっぺん〜ってところほんと読んでて天才か?ってなりました! (1月8日 21時) (レス) @page1 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷エマ(プロフ) - 匿名さん» 返信遅くなってすみません...!プリ小説では活動してないです!良ければ作品の方教えていただいてもよろしいですか...? (8月27日 20時) (レス) id: 63021b120b (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - すみません、主様ってプリ小説でも活動してますか?プリ小説の方でこの小説と似たようなお話があったので連絡させて頂きました。最後になりましたがこのお話とても好きです応援してます (8月21日 15時) (レス) id: 9346b68fad (このIDを非表示/違反報告)
みどり(プロフ) - やけに私の好みどストライクだなぁと思ったら、「病みと最凶は紙一重」の作者様....!!どおりで!あぁもう好きです!!!!生きる糧です!!ありがとうございます!ありがとうございます! (2023年2月5日 19時) (レス) id: 9a5127d1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年1月16日 19時