閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

回避 ページ23

「何も隠してなんかないよ。本当に驚かせようと思っただけなんだって」



「パンダや棘ならまだしも....憂太がそんなことするように思えねえんだよなぁ」





もしかして、そこになんか隠してんのか？と私のいる方を指差す。



.....多分、逃げるのには絶好のチャンスだ。



今の現状を真希に伝えられる。



でも今ここで助けを求めたところで、乙骨くんは私を連れて逃げるから意味がない。



私は身を持って知っている。乙骨くんは強いんだということを。





「......真希さんこそなんなの？さっきから僕に探りを入れてるけど....」



「たとえ僕が何か隠してたとしても、真希さんには関係ないよね？」



「.....そんなに気になるなら見てくればいいんじゃない？」





乙骨くんの呪力の増幅を感じる。



ただでさえ異次元な呪力がふつふつと湧き上がって、遠くにいる私にも威圧感が伝わった。





「悪い悪い。そんな怒らせるつもりじゃなかったんだよ」



「ただ、最近のお前がなんか変だから気になっただけだ。

別に言いたくないならいい。私がお前の事情に首突っ込む理由なんてないからな」



「......分かってくれたならいいよ」





じゃあな、と真希は手をひらひらさせながらどこかへ消えていってしまった。





「部屋戻ろっか。Aちゃん」



「.....うん」





私も一言でいいから久しぶりに話してみたかったな、なんて思ってみる。



狗巻くんとパンダくんも元気なんだろうか。



怪我とか病気とか.....してないといいな。





「手と足出して。鎖つけるから」





ガチャ、と音がなって、いつもの鎖が私の手と足を蝕む。



鎖が擦れて手と足には痛々しい跡が刻み込まれていた。





「実は僕、今から任務があるんだ。

最近は無かったからずっとAちゃんと一緒にいられたけど....

今回はそういうわけにもいかなくてね」



「明日の朝までには絶対に帰ってくるから。いい子で待っててね」





にこっと微笑んだ後、乙骨くんは扉を開けて外に出た。





「じゃあ、いってきます」

分からない→←友人

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す