暗殺１１ ページ11
カルマくんって誰にでもあの態度を取る人じゃない。
もしかして…愛美ちゃんのことが好きとか。
私は全然構わないし、口出しする権利なんてない。
なのに…なんだか胸が痛い。
誰か教えて。
夕暮れ時、私は頭を悩ませながら帰り道を行く。
「はぁ…」
思わずため息が漏れる。
重い足並みで駅へ向かう。
まだこの時間帯は肌寒く、もう少し厚着した方が良かったと今更のように後悔した。
「…くしゅんっ」
思ったそばからくしゃみが…。
急いで帰らないと、駅の人混みとか苦手だし。
「…くしゅんっ！」
だんだん止まらなくなってきた。
「大丈夫？」
「えっ…」
目の前にいたのはカルマくんだった。
「さっきからくしゃみ、止まらないみたいだし…着なよ。」
そう言って差し出されたのは、彼がいつも着ているカーディガン。
「えっ、平気だよ……くしゅんっ！…あっ」
「ほら、いいから。電車乗る？」
「う、うん…」
歩くたびに風がきて、カーディガンからカルマくんの匂いがふわふわする。
いい匂い…。
こ、これって変態発言になっちゃうのかな。
そんな心配する私とは裏腹に、彼は軽快に歩いていた。
私ばかりが勝手に緊張して、意識して…。
なんだか…カルマくんはズルい。
私は未だに変に緊張する理由が分からないのに。
悠々としてるカルマくんが少しだけ羨ましかった。
「ねぇ、やっぱぶかぶかだね。蒼波さんが小さいから？」
クスクスと笑ってる…。
しかもチビ呼ばわりですか。
「も、もう少し伸びるもん…多分っ……！そ、それより名前でいいよ」
「あはっ、ごめんごめん。慣れてなくってさ、Aちゃん。これでいい？」
余裕そうに首を傾げ、あの笑顔だ。
冷めた笑顔。
私には時折そう見える。
「う、うん…確認しなくてもいいのに」
「確認？あー…なんか呼んでほしそうな顔してたからさ。これで満足？」
「なっ…！！」
なんかおちょくられてる…！
「ほら、電車来そう。急ごう」
そう言って、私の手をすんなりと握って猛ダッシュ。
え…手？！
「えぇ？！」
思わず声をあげてしまった。
恥ずかしさでいっぱいだ。
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作者名：彗 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sui12141/
作成日時：2015年3月15日 2時
