「記憶と過去」 ページ47
ー「岩本」ー
俺たちの中にその子の記憶が流れ込んでくる。その時感じた恐怖や悲しみ絶望感、体に打ち付ける冷たい雨や痛みまでもが伝わってくるようで、まるで自分がその場にいて側に見ているような感覚に陥ってしまうくらい鮮明ではっきりとした記憶だった。
「容赦なく殺しに来ているようだったさ」
玉藻やマタタビの言葉を思い出して、その通りの、いやそれ以上の光景に、つい、過去のことを思い返してしまう。
俺たちが妖憑きになった、あの日のことを。
ぼんやりそう思っていると、ちょうど朧にたどり着いたらしいところで記憶が途切れてしまって俺たちは一斉に目を開けた。
目の前のその子は肩で息をしながら、俯いて苦しそうにしていた。
玉藻「大丈夫かい?きっと霊力を使い過ぎたんだ。」
マタタビ「大介、休ませないと」
佐久間「あ、、うん、そうだね、、。辰哉、部屋で休ませてあげよう。」
深澤「あぁ。」
阿部「上皇、運んでくれるかい?俺たちは少し話したいことがある。仕事も始まる時間だしね。」
崇徳上皇「御意」
崇徳上皇がその子を抱き上げると、玉藻とマタタビと一緒に蔵を出ていった。
佐久間「、、これではっきりしたろ?あの子はあっち側の人間じゃないよ。あいつらは敵だ。」
渡辺「なにがはっきりしただよ。なんもわかってねぇだろ?手紙になんか書いてあったみたいだけど、肝心なところはわからないじゃんかよ。」
阿部「そうだけど、殺されかけたんだぞ?陰陽師はあの子を利用して何かをしようとしていたのは事実で、予想通りに事が運ばなかったから殺そうとした。一族ごとね。」
渡辺「だから?ここに匿おうって?冗談じゃない。そんな危険は犯せないだろ。確かに何かあったんだろうよ、けど、関われば俺たちだって殺されるぞ?」
村上「その心配はもう遅いと思うよ。」
阿部と翔太の言い合いを止めたのは、それまで難しい顔をして押し黙っていた真都だった。
村上「翔太も、みんなも、もう気づいてるでしょ?あの子が探してるのは俺たちだって。俺たちに会うためにあんな目に遭ってまでここまで来たんだ。」
岩本「でも、なんでた?なんのために、」
村上「それは、、わからないけど。何か意味がある気がするんだよ。俺たちが妖憑きになった事と、あの子がここに来たことと。」
真都は、いままで聞いたことのないくらい低い声でそう言った。
向井「、、、そんなん、どうでもええわ。」
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Asura(プロフ) - ありがとうございます!楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして!コメントありがとうございます!まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください!移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして!スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか? (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます!usermho6x4ya37←こちらになります!作品名検索でも出てくると思います! (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます!嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年4月22日 2時