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日が暮れて来ると黒馬は少しだけゆっくり走った。これだけ式神がはっきり見えるということは、まだ廉も流星も無事だということだ。これだけが心の支えだった。
ほとんど眠れぬ生活に、私の体は疲れ切っていたけれどそれ以上に手紙の続きが気になって仕方が無かった。読んだ内容でさえ到底理解が追いつかない。
ただ、わたしは朱雛院家の地下に居た時、父上が読ませてくれていた本の事を思い返していた。それは、幼い頃読んだ妖退治の記録ではなくて、妖の特性や姿形、それがその土地にどう生まれ、どんな影響を及ぼしているのか。
それは、悪い妖だけではなく、人々を守る妖や、人知れず土地の為に人の為に尽くす妖の事だった。妖あっての土地なのだといつしか思うようになっていたのだ。
けれど、妖退治の記録の書物にはその妖でさえ悪い妖のように描かれまるで陰陽師が英雄かのように描かれていた。どちらを信用するのか、今の私には明確だった。
夜が明けると、黒馬はまた速度を上げて走り出す。手綱を握る手に力が入らなくなってくるのがわかっていたから、手に縄を2周ほど巻いて簡単には外れないようにした。さらに身を屈めて少しでも早く朧へ着くようにと願いながら黒馬の背中にピタリと体を預ける。
陽が昇り、だんだんと傾いていく。
すると突然厚い雲がそれを覆い隠して大粒の雨が降り始めた。遠くから雷の音も聞こえてくる。わたしは背中に背負っていた荷物を、入った手紙が濡れぬように自分の前の方に回してまた黒馬にしがみつくように体を倒した。
雨で前はほとんど見えない。まだ夕方ごろのはずなのに、辺りはまるで夜のように暗かった。
一日で着くはずの朧は、、もうすぐのはず、。
気を張っていなければ、そう思うものの体が言うことを効かない。瞼が重く、体に力が入らない。雨のせいで濡れた着物が余計に体温を奪って行くし、癒えるはずもない傷はじんじんと更に痛み始めていた。
『廉がくれた霊力は、どれくらい持つんだろう、』
そう独り言を言った途端に、黒馬の速度がガクンと落ちた。その勢いで、私は前に滑り落ちそうになるのを必死で堪えた。
『っ、、なにっ、』
黒馬は少し苦しそうにだんだんと足が動かなくなって、しまいには私を乗せたまま、その場に崩れ落ちてしまった。
『あっ、、』
腰に巻いていた綱がぷつりと切れて、わたしは黒馬の近くに放り出されてしまう。
そして、あることに気がつく。
『目が、、廉にもらった霊力が、、
消えかかってる、、』
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Asura(プロフ) - ありがとうございます！楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (
レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして！コメントありがとうございます！まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください！移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして！スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか？ (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます！usermho6x4ya37←こちらになります！作品名検索でも出てくると思います！ (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます！嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2023年4月22日 2時
