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「生きてる。死にかけてるがな。そんな時に、お前の心配ばかりしてたよ。朧まで行くんだろ?俺の式神を使え。」
『、、、』
「まだ、自力で霊力は出せないだろ。廉の霊力が少しでも残っている内に朧へ行け。そこに行けば邪気を纏った妖は入ってこられないように結界が張っているはずだ。」
『なんでそんなに詳しいの?』
「、、、お前をそこへ向かわせることが、ここ数年俺と廉と朱雛院家の本家の人たちで考えてきた計画だったからだ。朧は朱雛院家と大きく繋がりがある」
『それってどんな、、』
「親父さんからの手紙読んでないのか?」
『読んでる途中で廉の式神がいなくなったから、、』
「じゃあ、朧に着いてからだな。こいつに乗れば読んでる暇なんて無いだろうから。」
流星が絵巻物を取り出すと地べたに置いた。両手で印を作り出し、左手で触れるとその絵のまま黒い馬が絵巻物から飛び出してくる。
「あと、その束ねている髪切ってここへ置いていけ。」
『えっ?』
「その姿では不自然だろ。それに、長い髪には悪気が引き寄せられやすいからな。」
『、、、わかった。』
自分の持っている刀で束ねていたところから髪をバッサリと切って、着物を埋めた場所に埋めた。流星は私を抱き上げ黒馬に乗せると手綱をぎゅっと握らせ、もう一つの綱を私の腰に巻いて馬の背に固定した。
「朧はここから西にずっと行ったところだ。こいつの速さなら一日程で着くだろうが、くれぐれも振り落とされないようにな。」
『流星は、?』
「俺は少しでも追手を足止めする。」
『、、、。』
「心配するな、廉も俺も簡単には死なない。」
『、、うん。』
「いいか、真っ直ぐ西だ。何があっても戻ってくるなよ。あと、そいつの手綱はしっかり握っておけよ、絶対離すな。」
『わかった、、』
「お前が逃げ切ってさえくれれば、俺たちの勝ちだ。それ以外は何も望まない。頼むぞ。」
その言葉と同時に黒馬が動き出した。あっという間に流星が見えなくなって行く。感じたことのない速さに上半身を屈めて手綱を握る手に力が入る。
「なぜ殺されようとしているのか」そんな疑問は今はどうでも良かった。
「逃げ切ってさえくれればいい」
父上や朱雛院家の人たち、廉や流星の心からの望みがそれならば私はそれに応えなければいけないと思った。
そう考えることで、冷静さを保っていただけかも知れないけれど。
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Asura(プロフ) - ありがとうございます!楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして!コメントありがとうございます!まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください!移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして!スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか? (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます!usermho6x4ya37←こちらになります!作品名検索でも出てくると思います! (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます!嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年4月22日 2時