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ーAの記憶ー
「開眼の儀式」で開眼して偉業を残すほどの陰陽師になれると思っていたわたしはその日から「異端児」として扱われるようになった。朱雛院家の地下にある、一人でいるには広すぎる部屋に一日中いる生活。いると言うよりかは閉じ込められたの方が近いかもしれない。
霊力が無い異端児を産んでしまったと、母上は屋敷に引き篭もるようになり、父上も絶望していた。
母上はわたしに会いに来ることは無かったし、父上も食事を運んでくれたり話してくれたりはしたし、優しくしてくれてはいたけれど、外に出してくれることはなかった。食事と一緒に持ってきてくれる書物を毎日読んで、眠って、起きてまた読んで、、。
そんな生活の中で唯一心の支えになっていたのは、毎日決まった時間に天窓から降ってくる花びらだった。誰がとはわからないけれど、ぼんやり廉だと思っていた。
ただ、それだけの毎日が7年続いたある日、わたしの元にある陰陽師がやってきた。
?「朱雛院Aだな。」
『あなたは、?』
?「安倍唱詠だ。お前の開眼の儀式を担当した。」
『はぁ、、』
安倍「ここから出てもらう。」
『え、外へいくのですか?』
安倍「いいや、別の場所に移動するだけだ。」
『別の、?どこへ、?』
安倍「答える必要はない。黙ってついて来い。」
連れてこられた場所は、幼い頃に廉と話していた地下にある祠だった。初めて見るその場所は淀んだ空気が漂っていて、霊力がないわたしでも重たい何かを感じる。
安倍「今日からここで生活してもらう。」
『えっ、でも、生活できる環境じゃ、』
安倍「異端児が何を言ってる、生かしてもらえているだけ有難いと思え。」
『そんなっ、、父上はなんと言っているのですか!会わせてください!』
安倍「其方の父は今独房に居る。お前を外へ逃がそうとしていたからだ。」
『嘘、、そんなっ、』
安倍「嘘ではない。お前はここで死ぬまで暮らすのだ。」
『、、何故ですか、』
安倍「何がだ?」
『何故、今わたしを殺さないのですか?
異端児なら、さっさと殺してしまえばいいのに、何故生かすんですか?』
安倍「お前の質問に答える気はない。」
『ここでわたしを殺して、父上を解放してください、
お願いします、』
安倍「、、お前がここで半年生き延びられれば考えよう。」
『ぇっ、』
安倍唱詠は、ひどく冷たい声をしていた。「生き延びるなんて無理なんだ」と分かっているようだった。
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Asura(プロフ) - ありがとうございます!楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして!コメントありがとうございます!まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください!移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして!スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか? (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます!usermho6x4ya37←こちらになります!作品名検索でも出てくると思います! (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます!嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年4月22日 2時