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ー『雪乃屋大広間』ー阿部ー
深澤「俺も行く。」
マタタビ「大介、どんすんのさ、あたしも行かなきゃ」
佐久間「うん、わかってる。俺も行くよ。」
佐久間がそう言うと、玉藻が中庭へ駆け出た。
風が強く吹き出して共鳴するかのように少し唸ると玉藻の体がみるみるうちに大きくなった。辰哉はその背中に乗ると目黒に向かってこう言った。
深澤「目黒、悪い。でも俺は医者だから、自分が手当した患者が危険な目に遭ってるのに見過ごすわけには行かないから。行くよ。」
そう言って辰哉を背に乗せた玉藻は空を蹴りながら、森の方へ向かって行った。
マタタビ「あたしらも行こう、大介」
佐久間「うん」
マタタビが大介の影に入ると、大介の影がグラグラと揺れ出す。大介とマタタビは体と精神を融合させるのが得意だ。今回は大介の姿のまま、マタタビの身体能力と霊力を上乗せした形のようだ。
佐久間(マタタビ)「大介はあたしと行くよ。あたしらが連れてきた子だからね。なんにせよケジメをつけるためさね。話はその後からでも十分だろう。」
目黒「・・・行くならいけ。」
佐久間(マタタビ)「・・・ふん」
佐久間は中庭に出ると着物の裾を少し上げて軽く地面を蹴ると雪乃屋の塀を軽く飛び越え、城下町の瓦屋根をつたって森の方へとんでもない速さで玉藻たちを追いかけていく。
目黒「阿部も、崇徳院も行きたいんだろ。」
呼ばれた自分の名前に、俺と上皇は目を合わせた。
阿部「行ってもいいの?」
目黒「行きたいのならば行けばいい。俺は行かないけどな。」
阿部「わかってる。行こう上皇。」
崇徳上皇「戻ったら、話の続きを。」
目黒「・・・あぁ。」
俺は崇徳から扇子を受け取ると、中庭に出て呪言をを唱えながら扇子を振るう。するとたちまち竜巻が起こったかのように俺と上皇を包んでいくと、一気に上空へ押し上げられる。
空から見える城下町は、提灯の灯りがポツンポツンと並んでいて、森へと続く門に向かっている大介が見えた。
崇徳上皇「我らも行こう。」
隣に並ぶ上皇の言葉に言葉なく頷くと、森の方へ向かう。空気を滑らせるかのように進んでいくと、森の中心から黒い霧のようなものが生き物のように動いている。
阿部「こんなの、初めて見た、」
崇徳上皇「これは・・・」
阿部「どうした、?」
表情を表に出すことのない上皇が、眉間に皺を寄せ、そう呟いた。
崇徳上皇「鬼蜘蛛だ」
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Asura(プロフ) - ありがとうございます!楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして!コメントありがとうございます!まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください!移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして!スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか? (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます!usermho6x4ya37←こちらになります!作品名検索でも出てくると思います! (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます!嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年4月22日 2時