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『陰陽師は、災いから民や都を守ると言いながら、その土地の神々や妖たちを殺してきた。でも、妖が見えないわたしにとっては、どこか違う世の話だと、思っていたんです。』
佐久間「え、妖が見えないって、」
『わたしが妖が見えるようになったのは、つい3日ほど前の事です。』
深澤「あんなに驚いていたのは、見慣れてなかったからってことか?」
『はい。』
阿部「ちょっと待っておくれ、生まれつき妖が見える者は稀にいるが、そんな短期間で見えるようになったというのは聞いたことがない。」
目黒「それも嘘か。」
『っ違います!本当のことです、』
目黒「どうでもいい!」
説明しようとしたわたしの話を遮って、漆黒の着物を纏った目黒という人がばっと立ち上がってゆっくり歩きながら近寄ってくる。
目黒「今すぐにここから出て行け。」
村上「蓮、、」
目黒「お前の居場所はここにはない。陰陽師の人間を招き入れたこと自体虫唾が走る。呪いがなんだ、どこぞで野垂れ死んだって構うもんか。事情なぞしらん。」
村上「話くらい聞いてあげても、」
目黒「真都、お前は許せるのか?あいつらを。」
村上「・・・」
目黒「龍神だと崇めたかと思えば、天災が続くと祟りだ呪いだと騒ぎ立ててお前を殺しにきた奴らだぞ。」
村上「それは、」
目黒「俺は許さない。出て行け。」
目に見えない圧迫感が部屋全体を覆って、わたしの体を縛り上げた。震えが止まらなかった。「逆らえば殺される」とさえ思った。
でも、「出て行く」ということは実はわたしにとっては都合がいいことなのかもしれない。親切にしてくれた人たちを危険な目に遭わせるわけにはいかなかったからだ。
森を抜けるまで追いかけてきた黒い霧のようなものは、陰陽師からの追ってに違いなかった。
『・・・手当てしていただき、ありがとうございました。嘘をついて、申し訳ありませんでした。出ていきます、。』
佐久間「・・・そんな傷で、何処行こうってんだい?蓮、動けるのが不思議なくらいの傷だよ?ほんとに死んじまうよ。」
目黒「だからなんだ?同胞たちを殺した報いを受ければいい。」
深澤「・・・」
村上「まって、蓮、この子は追い出しては行けない気がする。」
目黒「・・・今回ばかりは、お前のいうことでも聞けん。」
村上「そうかい・・」
軋む体を精一杯動かして正座をすると頭をついた。
『お世話に、、なりました。』
体に力を込めて立ち上がる。何も持たずに浴衣のままで外へ出た。朧の城下町には雪が降り始めていた。
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Asura(プロフ) - ありがとうございます!楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして!コメントありがとうございます!まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください!移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして!スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか? (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます!usermho6x4ya37←こちらになります!作品名検索でも出てくると思います! (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます!嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年4月22日 2時