「妖たち」 ページ16
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大広間に着くと入り口のところで上皇が降ろしてくれる。天井が高くとてつもなく広い畳敷の部屋。壁には掛け軸がいくつかかけられていた。その1番上座の方に一人、そのすぐ右手に一人座っている。
?「お客人というのはその人?」
深澤「そう、酷曇の近くで傷だらけで立ってるのを佐久間が見つけたんだが、妖が見えるわ呪いがかけられてるわで、とりあえず手当てしてやってたんだ。」
??「大丈夫なのか、素性のしれないものを入れて。何か起きる前に放り出しちまった方が」
?「まぁまぁ、いいじゃない。」
佐久間さんがわたしに寄ってきて指を挿しながら教えてくれる。
佐久間「1番上座に座ってる銀箔の着物を着たのがここの薬種問屋の若旦那の村上真都。1番若いけど、頭は切れるよ。その隣に座ってる漆黒の着物を着てるのが、隣の廻船問屋の若旦那の目黒蓮だよ。」
『あ、はい、、ありがとうございます、』
目黒「おい、名は何という」
『あ、葵です、』
目黒「・・・本当の名を言え」
『っ!!』
目黒という人の目の色が変わっていく。後ろに伸びていた影がぐらっと揺れたかと思うと目黒という人の額から鋭いツノのようなものが出てくる。
佐久間「め、目黒、落ち着いて、」
深澤「お前、名前も嘘だったのかよ。」
『・・・。』
目黒「もう一度聞くぞ、名前を言え。」
静かで低いその人の声は、地面を伝って足元から震えを起こさせた。心の臓をぎゅっと掴まれている心地にさえなった。これ以上、嘘を吐いても良いことはない。どうあっても全て話すしかないとその一瞬で思わされてしまった。
『A、です。』
目黒「姓は?」
『・・・朱雛院』
目黒「しゅすういん、?」
村上「・・・どこかで聞いたことあるような、」
阿部「朱雛院って、京の都の仙籍の家柄・・・」
佐久間「せんせき?」
阿部「天皇に奏上、つまり意見を申し立てられるほどの立場にある陰陽師の家系のひとつ。」
佐久間「陰陽師って、」
目黒「ほらな。やっぱり俺たちの敵じゃないか。」
村上「待ちなよ蓮、家柄がそうと言うだけで、事情も何も聞いてないじゃないか。」
目黒「聞いてどうするんだ、こいつらが何百年俺たちを苦しめてきたと思ってる。妖あっての土地だと言うのに。だからこうやって逃げるように移り住んで先代達が朧を作ったんだろうが。」
『その通りです。』
その場にいた全員の視線がわたしに集まった。
『陰陽師は、災いから民や都を守ると言いながら、その土地の神々や妖たちを殺してきた。でも、妖が見えないわたしにとっては、どこか違う世の話だと、思っていたんです。』
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Asura(プロフ) - ありがとうございます!楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして!コメントありがとうございます!まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください!移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして!スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか? (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます!usermho6x4ya37←こちらになります!作品名検索でも出てくると思います! (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます!嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年4月22日 2時