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辰哉「今、俺の後ろに何が見える?」
ずっと伏せていた視線を、その人の、いや、その人の後ろへ向けた。未だにその人の後ろには狐の影がゆらゆらと揺れながらこちらを見ている。
『・・・』
佐久間「辰哉まさか、この子に見えると思ってんのかい?」
辰哉「さっきから妙な反応をするのが気になってたんだ。お前、俺に怯えているわけじゃなくて、こいつにジロジロ見られて気味悪がってたんだろ?」
その人が後ろの襖のほうを振り向きそう言った。すると、
?「なんだい、あたしはただ見てただけさね。」
辰哉「嘘をつけ、ちょっかい出そうとしてたじゃないか」
『・・・喋った』
驚きを隠さずについ言葉が漏れてしまう。
さっきまで黒い禍々しい影に見えたものがずいっと襖から身を剥がして出てきたのだ。金色の毛をした狐、尻尾がたくさん見える。目は藤色で、体の大きさはわたしと同じくらいだろうか。しかも流暢に話している。
?「目が合ったんだ、嬉しくなるってもんさ。影の中にいると不気味に写るのがあたしの美学に反するところだけれど、まぁ見える人間に会えたのだから良しとしようかね。」
辰哉「やっぱり見えてたのか、」
佐久間「だから鈴の音にも反応していたのか、」
??「んふふっ、あたしは初めて会った時から気づいてましたよ?」
どこからともなく声がして、天井の上から板が剥がれて猫が飛び降りてきて、座っている佐久間という人の膝に座った。真っ白な毛並みで異様に長い尻尾がふたつに分かれていて、尻尾の先だけ桃色だった。首には金色の鈴を付けていた。
??「面白い霊力を感じたんだもの。声をかけて正解だったじゃない?」
『この声、あの女の人の、えっ?』
?「あらあら、困惑してるようだよ?説明してあげなきゃ。」
??「ちんたら手当なんかしてるからだよ」
辰哉「うるさいぞお前たち。」
?「あらやだ八つ当たりかぃ?そんなんだから嫌われるんだ。外面ばっかり良くてもね、本性がこれじゃぁねぇ。」
辰哉「お前っ、玉藻!いいから引っ込んでてくれよ!」
玉藻「はいはい、わかったよ。全く怒りっぽい男だね。」
狐のそれは、なにやらぶつくさ言いながらまた影の中に入って行ってしまった。今度は辰哉という人の影しか見えない。
佐久間「見えてるなら説明するしかないね。まずは俺たちから名乗ろうか。」
そう言って、猫を膝の上に乗せたまま体をこちらに向けた
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Asura(プロフ) - ありがとうございます!楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして!コメントありがとうございます!まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください!移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして!スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか? (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます!usermho6x4ya37←こちらになります!作品名検索でも出てくると思います! (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます!嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年4月22日 2時