盃2 ページ6
(side You)
サ｢うおっ、と、Aじゃねえか…こんな時間にどうした｣や
暗い部屋でロウソクを照らしなが作業する私を見て驚いたのか、彼は大きな体をビクリと揺らした。
『サッチ隊長こそ…あ、またお酒盗むつもりですね？』
サ｢ちっ、バレたか！｣
ノリよくおどけながらカウンターまで来たサッチ隊長。彼のこの陽気さに何度救われたことか。結局何も返せないままだ。
『…何か呑みませんか？今なら大盤振る舞いですよ』
せめてもの恩返しだ。一瞬驚いたサッチ隊長はすぐににっこり笑って頷いた。
サ｢よっしゃ！それじゃあ高いのから頼む！｣
調子の良い人だ。でも今は何も考えずに頷きたい。何を出そうかな、後ろの棚にはよく使うリキュールや蒸留酒ばかり。今回は良いものを出したい。
とっておきのお酒はカウンターの下や冷蔵庫でしっかり管理している。しゃがみ込んで冷蔵庫を開けた。最初は軽めのスパークリングワインがいいかな。
取り出したのはグランドラインのある島にしか生息しない、希少なぶどうを使ったスパークリングワインだ。発酵由来の炭酸はきめ細かく、グラスに注ぐと上品な音を立てて香り立つ。
サ｢おうおう、こんなもん隠してやがったのか｣
『人聞きの悪い事言いますね…お祝い事で出そうと思っていたんです』
誰かの誕生日や節目の日、そんな日をもしこのバーで過ごしてくれる人がいたら、そんなとっておきの日のために取っておいたのだ。今日は、そうだな、私とラグナちゃんの下船を祝して、とでも理由を付けよう。
ありがたみも無さそうにサッチ隊長はグラスを一気に煽って空にした。
『それ、とっても希少なんですよ？』
サ｢開けちまえば同じさ｣
ご機嫌なサッチ隊長によって瓶はすぐに空っぽになった。ここまで豪快に飲まれると気持ちがいい。そうしてどんどん瓶を空けては思い出を語り合ったりした。
そろそろ酔いも回って来た頃、もうあと数時間もすれば朝が来る。
サ｢…なあ、A、あのラム酒を開けてくれよ｣
それはきっと、このバーに初めて置かれたラム酒だ。記念にとずっと開けずに、1番上の棚でこのバーを見守ってくれていた。
これを開けるのはバーを閉める時と決めていた。ずっとそんな日が来ない事を心のどこかで願っていた。少し背伸びをして瓶を手の中に迎えると、冷えた表面がゆっくり手に馴染む。
サ｢一緒に飲もうぜ、兄妹｣
彼がグラスを掲げて笑い、2人で静かに盃を交わした。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
