藁をも掴む4 ページ33
(side Marco)
捕虜の女を一通り診たナース長は船内へと彼女を連れて行った。風呂やら服やら、女に必要な支度をしてやるらしい。心なしか声が弾んでいたが、もしや着せ替え人形にでもするつもりだろうか。
何はともあれ、お互いに気に入った様で良かった。
マ｢……は？｣
胸を撫で下ろす自分に疑問が浮かぶ。何が『良かった』だ。まるであの女がこの船に溶け込めるか心配でもしてるみてぇに…
マ｢…いや、いやいや…｣
エ｢何ブツブツ言ってんだ、マルコ？｣
甲板でガヤガヤと宝分けしていたエースがいつの間にやら顔を覗き込んでいる。
マ｢何でもねえよい｣
平静を装い咳払いを1つ。怪訝そうな末っ子と距離を取り向き直る。両手いっぱいに果物を抱えたエースはそんな俺にまた眉を寄せる。
エ｢変なやつだなぁ…あ、そんな事より食堂行こうぜ！腹減った！｣
からりと笑って手の中の果物を口いっぱいに頬張るエース。本当によく食う奴は何か食いながら腹減ったなんて抜かすのを俺はこの男から教わった。
エースが食堂で大食いを始める前にここにいる男達に食わせよう。さっさと連れていかないとサッチが後でうるさそうだ。
マ｢おい、お前らついてこい、メシ食いに行くぞい｣
捕｢えっ、でも…｣
海賊がメシを食わすなんてそりゃあ警戒もするだろう。とはいえ自分から連れてけと頼んだのにこの怯え様。海賊ってのはつくづく損な役回りだ。
マ｢お前らのいた船からぶんどった食糧だ、食っちまえよい｣
もちろんそんな報告は一切上がっていないが、すっかり怯えちまったこいつらを連れていくには丁度いい口実だ。
何やらアイコンタクトをとった彼らは立ち上がりゾロゾロと歩き出す。
エ｢ははっ！猿山みてえだ！｣
ーーー
ーー
ー
捕｢うめぇ！うめぇよ！サッチさん、あんた天才だ！｣
おそらく数日ぶりであろうしっかりしたメシに捕虜の男たちが涙を流しながらがっつく。口々に褒められて満更でもなさそうなサッチは鼻の下を擦る。
サ｢へへ、嬉しい事言ってくれるぜ、誰かさんも見習ってくれねえかなあ｣
マ｢はいはい、うめぇよい｣
サ｢あー、かわいくねぇの！｣
カウンターに肘をついて頬を膨らます屈強な男。サブイボが立って折角の美味いメシが台無しだ。
次々カラになる皿を片しながら思い出したようにサッチが声を上げる。
サ｢あ、それよりあの女の子はどうしたんだ？俺ァあの子に1番食べさせてやりたかったんだぜ｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
