藁をも掴む2 ページ30
(side Marco)
衛生面がなってない船だけにこの規模にしちゃ良い薬が揃っていた。使えそうな物を幾つか見繕うと後から来た隊員たちが既に金目の物を物色しつくしていた。
隊｢ちっ、シケてやがる。マルコ隊長、何か良いもんありました？｣
マ｢ああ、お前ェらの怪我に塗るイターイのがねい｣
手元の消毒液をチラつかせると隊員たちは顔を引きつらせた。
マ｢早いとこ戻れよい｣
宝を漁る隊員達に一言残し甲板へと上がった。甲板では捕虜たちがひと塊に震えていた。
サ｢おいおい、マルコ！ほんとにこいつら連れて帰るのか？｣
勘弁してくれ、とでも言わんばかりの不満顔でサッチが寄ってくる。
マ｢故郷が親父のナワバリなんだと。ほっとけねえだろい｣
サ｢ちくしょー！ただでさえ食糧不足なのによお！｣
マ｢なんとかしろい。さ、さっさと帰るよい｣
重苦しいため息を吐き出すサッチを放っておき、モビーへと戻ろうと船縁に足をかけたところで視線を感じそちらへ向き直る。
そこには船の奥で小さく震えていた骨骨しい女がじっと俺を見つめていた。何か言いたげなそいつからなんだか目が離せずに俺達は数秒間視線を交わしていた。
意を決した様に女が小さく口を開く。
『…ありがとう』
今にも泣きだしそうなその顔で、海賊には不似合いなその言葉を呟く彼女。胸の奥に火が付けられたみたいだった。
気づけば手が伸び、彼女の頭をするりとひと撫でしていた。乱暴に触れればすぐに壊れてしまいそうだった。
『え…あの…』
彼女の言葉を待たずに横につけてあった船へと飛び乗る。荷物を積み込んだクルー達が次々飛び乗り船が揺れた。
ーーー
ーー
ー
モビーへと帰った俺たち。いつものように宝や物資を片付け、甲板で固まってる捕虜の元へと向かう。ざっと見たところ全部で10人ほど。女はあの小さいの1人だけらしい。男達とは少し距離を置いたところで彼女は膝を抱えていた。
マ｢おい、お前ら全員行く宛はあるのかよい｣
捕虜たちに向けて声をかければ、最初に俺に泣きついた男が口を開く。聞いたところ、こいつらはほとんどが同じ島で攫われた人間らしい。どこかの島で下ろせば勝手に故郷に帰れるだろう。問題は女だった。
捕｢俺たちがあの船に攫われてきた頃には既にあの子がいたんだ…あんまりでかい声じゃ言えねえんだけどよ…｣
小さく座り込む彼女を横目に見た男が声を潜める。
捕｢あの船には女が、あの子だけだったから…｣
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
