あ、黄金じゃない方のマンネです ３

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SideRM


コンセプト会議やらなんやらで忘れがちだが、10月には初の単独ワールドコンサートが控えている。そのための準備ももうすぐ始まるんだが、Aの怪我の具合にもよるけど最悪、Aは今回出られないかもしれない。


それと、アルバムの売れ行き。

正直、いいとは言えない。

この話が出た時、誰も口には出さなかったけどなんとなく、限界なんじゃないか、って空気を感じた。

初のフルアルバムも一位は取れなくて、デビュー2年目。ワールドツアーもあるけど、正直ここらで人気は打ち止めかもしれない。


宿舎までの帰り道はまだ日も暮れていないはずなのに、ずっと夜道を歩いているような気分だった。


大きな事務所じゃないことはハナから承知の上だった。

でも、正直理解してなかったのかもしれない。

音楽番組の待遇とか、テレビで見てた、憧れだったはずの人からの刺されるような言葉とか。


自分たちだってわかってるんだ。誰かに言われなくても、小さい事務所だってことも、人気が伸びてないことも。

新しいコンセプトの話はこれからも詰めていって、それを考えながらワールドツアーの準備をして、曲を作って、どこかで悪口を言われながら仕事して。


Aの怪我だってどうなるかわからない。骨折する癖がついたら？Aがまた自分を見失ったら？Aだけじゃない、他の七人だって、いつどうなるかわからない。

学校三部作はかなりの自信を持ってたのにダメで、次は青春三部作？

青春もクソもないこんな俺たちが一体何を表現するっていうんだ。元々はヒップホップグループのはずが、ダンスが入り、今度はメイクも変わる。


俺たちはこのまま進んでいけば、先の景色が見られるのか？今より先があるのか？

考えるほど不安ばかりだ。

リーダーの役割を気負いすぎている、と言われればそれまでだろう。気負うな、とホバはいうが、それが無理な話なのはお互いが知ってることだ。

お互いにその言葉が気休めにしかならないとわかった上で、ホバはそんな言葉をそれでもかけ続けてくれる。

でも、だからこそ言えない。


この話を誰かにしたところで励まされて終わりだろう。

みんな優しい。だから話を聞いて、そばにいて、励ましてくれる。だからこそ、言えない。みんなに余計な負担をかけたくないし、知らなくていいならこんなこと、俺だけが知っていればいいから。

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