あ、黄金じゃない方のマンネです ３

６ ページ31

Side SH

「それとね、もうひとつ。興味のないものに興味を出せとは言わないけど、君はよく考えて、少しだけ変わらなきゃならない。そうしないと、僕は何回も君にリテイクを出さなきゃならない」

『僕の何がダメなんですか』

「それは自分で気づかなきゃ意味のないものなんだよ、Aくん。..........君、今まで自分が出た芝居、観たことあるかい」

『あまり』

「君は何かに気づいた時、大きく変わる。全く他人だった僕がカメラ越しに観たってわかる変化だ。君のヒョンたちが気づいてるかどうかはわからないけど、Aくんきみはね、きっと”外で学ぶ子”だよ」

『外で学ぶ？』

「さ、今日の撮影は終わりだ。ゆっくり休んで、また明日」


それだけ言って監督は席を立った。片付けをしてたスタッフが一斉に挨拶をして、ホテルに帰っていく監督を見送る。


頃合いを見てAに近づく。1回目の撮影の時から利便性も兼ねてAは車椅子で現場を動き回っていて、今回はホテルまで微妙に距離があるからこの一週間Aは操作に慣れることも兼ねて車椅子で生活することを許可された。

許可された、というか、Aのマネージャーがそうしてくれ、と頼んでいた。よっぽど転倒が怖いんだろう。

SH「俺たちも帰ろ、A」

『ヒョン』

SH「明日は俺たち、午後から撮影だし、酒でも飲むか？」

『やったー！！......僕まだ未成年ですよ』

SH「いいんだよ、ちょっとぐらい。二人部屋なんだから、ゆっくり話そうぜ」

『ヒョンならそう言ってくれると思った。行きましょ！』



びっくりするぐらい綺麗な笑顔で笑ったと思えば、ゴリゴリタイヤを鳴らして行ってしまう。
マネージャーが心配するのもわかる。本当に危なっかしい。


追いかけながら、さっきの監督の言葉を思い出した。

外で学ぶ子。


俺はAにとって、その外になりたい。


きっと俺も監督のように、Aの魅力にとりつかれている。

CONNECT １→←５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す