あ、黄金じゃない方のマンネです ３

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SideJH


『きてませんよ』

ペッタリと降りた前髪。水を避けて目を閉じるAは何にもなかったように、きっぱりそう答える。

JH「きたって聞いたぞ」


自分も頭を洗いながらもう一度聞くと、背を向けて体を洗い始めたAは、
『でも断りましたから』

とおんなじトーンで言う。


JH「やりたくなかった？」


見つめるAの背中。腕の動きに合わせて肩甲骨が滑らかに動く。

『やりたくないってわけじゃ、ないです。でも、今は』

JH「今は？」

言葉尻を濁したAに、あえてその先を問う。

『今は、ツアー前だし、足も怪我してて.......ドラマの撮影なんて、そんな余裕ないです』

JH「でも、この話がA本人にきたってことは、このタイミングでもやる価値がある仕事だからじゃないの？」

『.....................................この話を受ければ、主演映画の話もあるかもしれない、とは聞きました。でも、それよりツアーの方が僕は重要です』

JH「ツアーの練習、か。まあ、それは俺も同じ。一番今集中したいのはツアーのことだ。でも、やりたいんじゃないの？お前」

『...................でも、』

JH「はい！じゃあやりたい！やりたくない！どっち！！」

『えっちょ、えっと、ま、や、』

JH「３、２、１！！」

『やりたい！！で、すけ、ど.........』


JH「じゃあやれ！みんなとも話し合った方がいいけど、俺は行くべきだと思う」

『でも..........』

JH「だってお前、もう曲は全部歌えるだろ？ダンス練習なんか、見てたってどうせ覚えないんだから、音楽再生係なんて時間の無駄だ。それに毎日、一日中撮影なんかするわけないんだから、合間に練習すればいい。ごちゃごちゃ考えてないで、飛び込んじまえ」


シャワーを止めた。

前髪から覗く淡い色の瞳をじっと覗く。


お前はきっと、これからもっともっと、大きくなっていくから。

そしてもしかしたら、それを手伝えるの俺たちじゃないかもしれない、と、少し思う。

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