あ、黄金じゃない方のマンネです ３

2 ページ18

SideJH


JH「しない、のか..........？」

『何がですか』

JH「A、お前、痛いとこ庇ったりとか、もしかして、しない？」

『？？？どういう意味です』




そういえば。


昔、Aに包丁を持たせたら血塗れになったことがあった。

切ったのは指だった。すごく深いわけじゃなかったけど、まあ、ザックリ、という表現がぴったりなくらいには切った。

でも傷自体は小さかったから、すぐに絆創膏を貼って、さすがに幼稚園児じゃないから絆創膏を貼った後でまた台所に立たせた。


そしたら台所が血の海になった。


あのときは、思ったより深く切ったのと、Aが不器用なせいだと思っていたけど、あれはもしかして、切った指を普通に使ってたからじゃないのか？

普通、俺なんかは怪我したところは出来るだけどこにも触れないようにする。

だって痛いし。

でもAの痛みの基準がゆるいとしたら、それを痛みと分類しないとしたら。

Aは構わず怪我した指で物を掴んで、握って、水にさらして。


考えただけでゾワっとする。痛い。



でもそう考えると、今までしつこく繰り返した足のマメにも説明がつく。

今までは極端に皮膚が薄いんだと思ってた。

冷静に考えたらそんなことあり得ないんだけど、でもAの透き通った雪みたいな肌とか、そんなこの世のものじゃないみたいな容姿に惑わされて。


JH「A、お前...........もっとちゃんと考えろ、自分のこと」

『え、』


口に出して、ハッとした。

考えが先行しすぎて、あまりに唐突で、言葉足らずだった。

Aは今まさに、自分についてちゃんと考えてる最中なのに。

JH「あ、違う、そうじゃなくて」

『............すみません』


この、顔は。


思い出す。今日何度も聞いた言葉、表情。


ジョングガとおんなじ顔で、おんなじ台詞。


怒るべきじゃないのかもしれない、と怒鳴りながら何度も思った。わかってた。Aを怪我させてしまった後ろめたさをジョングクは引きずってること。

何よりも仲間思いの弟のことだ。簡単に、整理がつかないのはわかる。

でも、あの状況が続くのはよくないことで。

JH「..............ごめん、そういう意味じゃなかった、けど.......ちょっと頭冷やしてくる」


俺はヒョンなのに。弟を傷つける事しかできないのか。

3→←DETERMINAION 1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す