備忘録 Ⅳ (ページ9)

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＃140．進む方向ページ9

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　亮から話があると集められたのは一ヶ月ほど前だった。すばるが脱退・退所して、未だ方向性が定まらない不安定な時期に、"すばるのいない関ジャニ∞"によるダメージとプレッシャーを最も受けていたのは亮だったのかもしれない。

「──エイトを抜けたいと思ってる。ごめん」

　この言葉を言わせてしまったとき、私の嵐としての活動休止報告のせいで、言いづらかっただろうなということが頭をよぎった。

　わがままに見えて、いやわがままなところもあるけど、わかりにくいほどの気遣い屋で、大切なことは自分で抱え込んで決断してしまう、そんな亮にとって、その意志を伝える機会が遠のいてしまったのではないかと恐れた。

　決してそんな亮のせいじゃない。

　けれど、また一人、違う道を歩むのであれば、グループ自体を解体するという選択肢が色濃くなってきたのは確かで、実際に解散ライブをする話もでていた。

　それでも、前に進まずにはいられないのがエイトだった。

　グループの解体ではなく、亮が脱退すると決まった今日。2019年の3月末。エイターへの公表は、十五祭が終わってからにするということも確定した。

　あぁ、怒涛な日々が続くなぁと思う。

『柚ちゃん、柚ちゃん』

「どした？」

『ここ二年くらい、時間過ぎるの早かった？遅かった？』

「ん〜、早かったかな」

『そっか。エイトのことも嵐のことも全部知ってるのって、私と柚ちゃんと修さんだけやもんね』

「だね。A、あんま無理しないように。って言っても、私が管理してるから私の裁量と責任だけど」

『ありがとう。でも私が取る仕事決めてるからなあ。というか、柚ちゃんもね、休めるときは休んでくださいな』

「ありがと。時間作って久しぶりに近くの温泉でも行くか〜」

『いいね！行きたい！早く休み取って！』

「www」

　密着してくれている結城さんが席を外したとき、そんな話で盛り上がる。今が一番の転換期なのはわかっている。だからこそ、ここが踏ん張りどき。

　自分にそう言い聞かせて目の前の仕事を一つひとつこなしていく。それが私にできることだから。

　今は、アイドル瀬那A、第一章の幕が下りる直前なのだろう。その時が来るまで走り続けて、また第二章を新たな気持ちで駆け抜けていきたい。

「瀬那さん、今からカメラ回してもいいですか？」

『はい。いつでも大丈夫ですよ』

　また私はいつものようにカメラへ笑顔を向けた。

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