備忘録 Ⅳ (ページ29)

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＃157．これからページ29

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　エイトして十五祭。嵐としては24時間テレビを終えた9月。社長のお別れ会があり、その後ついに亮の脱退を発表した。

　エイターからはたくさんの言葉を頂いた。良い内容も悪い内容も。私たちの決断がみんなを苦しめてしまっている。それを目で見て耳で聞いて肌で感じる。

　これは何度経験しても慣れない。

　悲しませたいわけじゃない。だから悲しみの声を聞くのが辛い。だけど、実際悲しませているのは自分たちだ。

「………大丈夫か？」

『うん、心配させてごめんね』

　これから忙しくなる。嵐は活休までに海外を見据えて動き始めているし、エイトは47都道府県ツアーが始まる。

　だから個人の仕事は控えているが、アニメ作品の続き物だと有難いことにどうしてもアフレコが入る。かく言う今日も放送中のアニメの収録だった。

「集まる？」

『……また聞いとく。でも難しいかも』

「時間できたら言いなよ？」

『ありがと、悠一さん』

　機材トラブルで一旦休憩となったアフレコ。エイトからの公式発表があったことを含め、最近何かと世間を騒がせてしまっているからなのか、私より私のことを分かってくれている人たちは、こうしていつも心配してくれる。

「こんな時だけ名前って、お前タチ悪いよな」

『なんの話？』

「いや、周りに煩い大人たちがいなくて良かったって話」

『煩い大人たち？』

「そう、まぁ気にすんな。こっちの話」

　よくわからない話をする悠一さんことにぃは、ポンと頭を撫でてどこかへ行ってしまった。

　それにしても最近は特に集まれていない。
……まぁ、主に私のせいなのだが。

　連絡は取っているし、現場でもみんなそれぞれには会えているけどプライベートではまた違った雰囲気があるのに。

「お待たせしました！瀬那さん、中村さん、よろしくお願いします」

『あっ、はい、お願いします』

　どうしても今は仕事を優先してしまう。

　……なんて言ったら、お前は今に限ったことじゃなくていつも仕事優先だろって言われるんだろうなぁ。

　柚ちゃんに、近々早く上がれそうな日はないかとだけ連絡し、立ち上がった。

『にぃ、どこ行ってたん？もう始まるよ』

「ちょっとね。でも間に合ったんだから良いだろ」

　戻ってきたにぃに小言を言いながらブースへ向かう。

『さぁ、頑張りますか』

　変わらない当たり前を大切にしたいと願いながら、今日もこれからも私はマイクの前へ立つ。

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