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「お前、可愛ええな。」
人間の子供と大して変わらない仕草にすっかり気を許してしまった俺がそう零すと、その生き物は一瞬はっとしたように止まったあと、手を重ねて照れたような動きをした。人間より余っ程人間らしく動く姿に思わず笑みをこぼしてしまう。
しゃがんだままの俺にそいつは明るく光る何かを差し出してきた。どうか受け取ってほしいと言わんばかりに声を発しながら。
「...なんや、これ、...キャンドル?」
問い返せばぷぴ!と自信たっぷりに返事が返ってきた。それを受け取るとそれは光の粒となって手のひらの奥へと吸い込まれるように消えていった。
「あ、え、ごめん!消えてしもた!」
焦って謝るが俺のその態度が面白かったのか目の前のそれはクスクスと笑っていた。そして両腕をぱ、と広げ、さあこいとばかりに首を傾げて待っている。しかし意図が掴めない俺はオロオロとするばかり。
「な、何やそれは、何待ちや?...じゃあ、俺がそうするから教えてくれ。」
困り果てた俺は問いかけ、そいつがしたように腕を広げた。するとぷぴ!とまた、喜んだ様に大きく一声上げると、俺の腕へ飛び込んできたのである。
「え!?」
ぴっ、と短くまた声を上げたその生き物はなんとも幸せそうに目を細め、俺に抱きついていた。驚きのあまり意味のある言葉が俺から出ることは無かった。ずり落ちないようしっかりと抱きしめてやる。
(...うわ、)
抱きしめていて思った。幸せだ、と。
出会ったばかりの、そのなんだか分からない生き物の、なんとも言えない温かさに、愛おしさと幸せが溢れてくる。
(なんや、これ...)
久々の満たされた気持ちに浸りながらゆっくりと腕を離すと、そいつは嬉しそうにぴー!と声を上げたあと、ご丁寧にも一礼をし、ふわりと空中へ舞い上がった。
纏ったマントを光輝かせながら雲の上へとグングン上がっていくそれは空へ帰っていく星のようで。
「何やったんや...、今の体験は、」
ぼんやりと空を眺めながら呟く。
心の中で''星の子''と名付けたそいつの温もりは、まだ胸をほんのりと温めていた。
________…
最近このゲーム好きすぎて。
星の子を抱きしめたい気持ちで一杯です。
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ちぃ汰。(プロフ) - 了解しました。続きで書くのでしたら是非拝見させて頂きます。宜しければ続きである事を表記していただけたら幸いです。楽しみにしています。 (2019年10月5日 14時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - ちぃ汰。さん» ひたすら毒素の詰め合わせ、と言う短編集にて毒素の話として書こうと思っています。よろしければ閲覧していただけると幸いです。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 絶対匿名03さん» コメントありがとうございます。続きを書いていただけるのでしたら是非拝見したいです。もしよろしければどちらの作品で書かれるのか教えていただけないでしょうか。ありがたいお話ありがとうございます。 (2019年10月5日 12時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - リクエストではないのですが、シリーズ最初のApple Tarteの49話(キュラソーを濁らせて)の話の個人的な続きを書きたいのですが、よろしいでしょうか?なるべく作風や元の口調等が崩れないように注意するつもりです。ご返答よろしくお願いいたします。 (2019年10月5日 8時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 暁さん» こんなに長く読んでいただけてるのを知れて嬉しかったですよ、本当に! こちらとしては皆様のコメントはとても励みになるのでありがたいです...! 是非またリクエストでもなんでもコメントして下さると嬉しいです。 (2019年9月5日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2019年6月22日 0時