【d!】Lemon Cake【短編集】

hey,【sh】 ページ5

息をするように失恋話です。


_________…

机に残った、灰皿やら、コンビニ弁当の殻やらを片してくれる人がいなくなった。
机の上に少しだけ溜まったゴミ箱行きのそれら。
いや、あいつがいた時は手料理だったから、皿か、とぼんやり考える。



掃除や洗濯は出来ても料理はからきしだったから、バランスの整ったアイツの料理は正直ありがたかったなあ、なんて。




何もすることがなくて、何もやる気が起きない。
あいつがいないと時間を有効に使えないことに多少腹が立った。

暇や暇やと思ってゲームしてても調子悪くておもんないし、ファンからのリプライ覗いてもクソリプばっかりで腹が立つ。仲間の動画見ようと思ってもココ最近の動画に俺出てないから見らんでええし。
俺が居る動画を見返したって俺への評価なんて目に見えている。

今、不人気なんて文字は、一番見たくない。






ぼーっと弄りすぎて、ホームボタンを長押ししてしまったらしい。スマホの中のAIが起動した。

慌てて消そうとしたが、ふと思い直す。
そうや、こいつで暇つぶししたろ。


hey,Siri。



ぽぽん、と軽快な音が鳴った。




「...あいつを忘れさせて」



なにも考えずに言った言葉は随分くだらなくて、アホらしかった。




''すみません、よくわかりません''



無機質な声は答えた。いやわかってたけど。
じゃあ、何が出来るん。役立たずめ。なんやねんもう。
そう思っていると画面にたくさんのアイコンが表示された。



''たとえば、このように尋ねてください。...、''


「...ミュージックかけて」



そうや、気分変えるか、なんて軽い気持ちだった。


開かれた16分音符のマークのアイコン。
流れ出したイントロに俺はまた頭を抱えることになる。




「あーもう、」






それは、アイツが好きだとオススメした歌。
典型的な失恋ソングの歌詞が、溢れかえった言葉なハズなのに無駄に刺さってくる。




「なんやねん、なんでその曲やねん、もう、やめろやぁ、」







溢れた涙を拭う人も、腕に収まってくる温かさも、とっくにどっかに行っていた。








________…




さわだそーりさんのついったーより、ネタをお借りしました。
本家はGoogleでしたが、shさんたしかあいぽんユーザーだったハズなので。



本当にお待たせしました。やっとこさ書きあげました。
よろしければネタ提供という名のリクエストお願いします。

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