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蠍は先の鋭い尾をゆらゆらと揺らしながら、ほお、と興味深げに月の話に頷いてみせるのです。




「なんでまた特別今日なんや?明日だって明後日だって何年後だってお前はここにいて青い星の周りをふわふわとしているやろう?」




『ふふふ、特別綺麗に、というのは一年においての話みたいですよ。何でも彼空に浮かぶ私の高さだとか、お天道様の光の反射の具合ですとか、彼星の季節ですとか、そういったものがいちばん宜しいようで。』





「いや、何とも面倒臭いものやなあ。そんなにも考えて此方のことを見ているんか。」




『面白いでしょう。ですから私も多少はと思い、綺麗に見えるよう姿勢を正したりしていた所なのですよ。』




ふわふわと衣を纏った月は手櫛で透き通るその御髪に半透明な指を通しました。つるつると滑った指からはパラパラと光の屑たちが舞い降りていきます。



「ああ、勿体ない。」




蠍はゆらゆら揺らしていた鍵爪のような尾をピンと張り、光の屑をそのまま尾で器用に掬ってみせました。ゆらりゆらり揺れながら、キラキラと光るそれを自分の赤く光るアンタレスの目元に持ってくると不思議そうに呟きます。




「俺にはお前はいつも一様に美しく見えてるんやけどなあ。」





白い衣が月の顔を覆ってしまったのは、言うまででもないでしょう。



今宵も暗く深い海では存外暖かい言葉が泳いでいる様です。





_________…


中秋の名月(遅刻)。

昨日考えてた話が消えたので全部書き直しました(絶望)



※加筆、修正しました。

青い砂嘴に溺れろ【em】→←autumn space【tn】



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ちぃ汰。(プロフ) - 了解しました。続きで書くのでしたら是非拝見させて頂きます。宜しければ続きである事を表記していただけたら幸いです。楽しみにしています。 (2019年10月5日 14時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - ちぃ汰。さん» ひたすら毒素の詰め合わせ、と言う短編集にて毒素の話として書こうと思っています。よろしければ閲覧していただけると幸いです。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 絶対匿名03さん» コメントありがとうございます。続きを書いていただけるのでしたら是非拝見したいです。もしよろしければどちらの作品で書かれるのか教えていただけないでしょうか。ありがたいお話ありがとうございます。 (2019年10月5日 12時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - リクエストではないのですが、シリーズ最初のApple Tarteの49話(キュラソーを濁らせて)の話の個人的な続きを書きたいのですが、よろしいでしょうか?なるべく作風や元の口調等が崩れないように注意するつもりです。ご返答よろしくお願いいたします。 (2019年10月5日 8時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 暁さん» こんなに長く読んでいただけてるのを知れて嬉しかったですよ、本当に! こちらとしては皆様のコメントはとても励みになるのでありがたいです...! 是非またリクエストでもなんでもコメントして下さると嬉しいです。 (2019年9月5日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2019年6月22日 0時

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