【d!】Lemon Cake【短編集】

花便り【os】 ページ34

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※特殊設定。


________…


それはそれは、長い手紙が届いた。

端然と並べられた文字列には季節の挨拶となんて事ない日常が並べられており、充実した生活をしているらしいことが伺えて思わず笑みを零してしまう。

隔週程で毎度届く手紙をそれなりに楽しみにしている自分が居た。
唯の友人とはいえ、もう生来と言ってもいいほど長く時を共に過ごしてきた仲なのだから。

手紙なんぞ、他人には古臭いものだと笑われるかもしれない。

けれど私にとっては、馴染みのある文字と彼らしい気遣いの上選ばれた、季節に合わせた便箋を想像しながら待つのはとても喜ばしい事だった。




『...ん？』



それが、小包に変わり始めたのは丁度3ヶ月程前からであろうか。



''近所で見つけたから、送るな。''



それだけの理由で送られてくる一輪の花。
初めは、水仙だったか。
黄色と緑のコントラストの眩しい、立派な花だった。



久しく花に触れていなかった私は喜ばしい気持ちを思う存分伝えた。
彼も良かった、と言って。それから毎度花を送ってくれるようになった。



それはもう、たくさんの花を。



中には季節を無視したものや、珍しい花も多く、私を喜ばす為に少しだけ無理をしているのではないかと心配もした。


しかし彼の文字は優しく、''見て欲しかってん。あんまり綺麗やったから。''、など、気を遣わせまいとしてその線を綴っていた。


花は毎度水に生けてはみるのだが、すぐに枯れてしまった。仕方の無いことではあるが、少し寂しい。

だから、次のが届くのが余計に待ち遠しかったりする。

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