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「...何も、違わんよ...、俺は!Aを...、違わん...、Aは、俺に、俺の...!」
『っあ、ごめん、ごめんね、泣かないで、傷つけたなら、謝るから』
勢いで押し倒された床は硬くて、背中が痛んだけれど、彼から落ちてくる涙の方がよっぽど私に刺さっている気がした。
刺さった傷口から血が溢れるように、涙が止まらなかった。
なんで私が泣いてるんだ。馬鹿みたいだ。
「...ごめん、俺...、Aだけやねん、ホンマに。」
『...ありがとう。』
「違う、それが違うよ、Aに言って欲しいんは、そんなんちゃう、」
お願い、好きって言ってや。
そう言われて、喉がひゅ、と鳴った。
なんで、だって、そんな、私、私が言っていいセリフじゃない、それ。
「お願い、A、言って、嫉妬して、抱きしめて、我儘言って、俺の言葉にもう縛られないで、お願い、」
嗚咽の合間に紡がれる言葉。
いつものスマートな彼はどこにも居ない。
誰にも見せることの無い彼がそこにいた。
「側に、おってや」
私の震える手が、鬱の手で彼を抱きしめるように回される。促されたその手は、もう離すまいときつくきつく彼を締め付けているのに、涙腺は緩んで仕方がない。
『...、すき、大好き、愛してるよ...!誰のとこにも行かないで...!私だけ、私だけで、居てよ!一緒にご飯食べてよ!寝付く時側にいて、朝までずっと隣にいてよ!抱きしめて...っ!』
私を置いて、出ていかないで!
溢れた言葉に合わせるように彼は額、頬、目尻、唇に口付けた。泣いて嗚咽の止まらない気管で、かふかふと息を吐く。
こんなにも無様なのに、こんなにも幸せだ。
「やっと、聴けた。」
きらきら涙で光る目が、嬉しそうに笑っている。
____________…
(嘘つきに、さよなら)
タイトルバッドエンド感でしたがどうでしたか?騙された感があったなら狙いバッチリですね笑
お二人が続けてくださったので、ハッピーに終わらせました。
なんとかお二人のを汚さずに済んだでしょうか?
こんなにも続いてくれるとは思いもしませんでした。
お二人共ありがとうございました。
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ちぃ汰。(プロフ) - 了解しました。続きで書くのでしたら是非拝見させて頂きます。宜しければ続きである事を表記していただけたら幸いです。楽しみにしています。 (2019年10月5日 14時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - ちぃ汰。さん» ひたすら毒素の詰め合わせ、と言う短編集にて毒素の話として書こうと思っています。よろしければ閲覧していただけると幸いです。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 絶対匿名03さん» コメントありがとうございます。続きを書いていただけるのでしたら是非拝見したいです。もしよろしければどちらの作品で書かれるのか教えていただけないでしょうか。ありがたいお話ありがとうございます。 (2019年10月5日 12時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - リクエストではないのですが、シリーズ最初のApple Tarteの49話(キュラソーを濁らせて)の話の個人的な続きを書きたいのですが、よろしいでしょうか?なるべく作風や元の口調等が崩れないように注意するつもりです。ご返答よろしくお願いいたします。 (2019年10月5日 8時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 暁さん» こんなに長く読んでいただけてるのを知れて嬉しかったですよ、本当に! こちらとしては皆様のコメントはとても励みになるのでありがたいです...! 是非またリクエストでもなんでもコメントして下さると嬉しいです。 (2019年9月5日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2019年6月22日 0時