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飛び出して、行くあてもなくて。
どうすべきか分からずにフラフラと歩いて。
(...ただのやつあたり)
そう、それでしか無かった。
Aは何にも悪くない。だって、俺の理想を貫いてくれているだけだから。
でも、でも。何言っても、どんなに報告しても、彼女は全く笑みを崩さないから。1ミリも嫉妬した様子を見せないから。
悔しかった。多分、ただそれだけ。
乱されてるのは俺だけなんだと、辛かっただけ。
「...あー!うつくん!」
「...おお、久々やなぁ、」
ちょうどええわ。
連れあった知り合いの女は迷うことなく俺に腕を絡ませた。
2時間ぐらい開けた家。
扉は思ったより何倍も重く感じる。
「只今、...Aちゃん!?」
廊下にうずくまる彼女の姿に駆け寄る。
膝に埋めた顔は覗き込めなくて何も読み取れない。
「どうしたん?具合悪いん?」
肩を揺らしてやると、恐る恐るといった様子で手が伸びてくる。そのまま、したいがままさせてやれば、俺の頬に指先は触れた。冷え切ったその温度に上から俺のを重ねてやる。
「...A...?具合悪いなら言ってや、伝えてくれんと分からん、俺...」
言ってて情けなくなる。俺は言葉にしてもらわないと何一つ彼女を分かってやれない。
彼女は何もかも察してくれて、俺の望む言葉をくれていたのに。
『...、』
「え、ごめん、聞こえへん、」
彼女の口許に耳を寄せると、頬を両手で触れられ、真っ直ぐに目を合わせられる。
ほろり。音もなく零れたそれを、俺は初めて見たかもしれない。
『...だき、しめて...よ、』
身体を震わせて、精一杯吐き出した言葉が、それだなんて。
思えばそんな我儘さえ俺は聞いていなかったんだ。
「そんなん、なんぼだって、したるよ」
もう、他の女のもとに、俺が行くことは無いんだろう。
_________…
続き書いてやろー!と書き出したはいいものの、データは吹っ飛ぶ、話が進まんなど、圧倒的難産でした...。
もうどうしようもないので供養です。
一瞬出てしまったうつせんせのちゃん付け呼びが、過去の呼び方だったのか、はたまた別の女と遊ぶ時のくせで言っちゃったのか、...どういう意味なのかは皆様の想像にお任せします。
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ちぃ汰。(プロフ) - 了解しました。続きで書くのでしたら是非拝見させて頂きます。宜しければ続きである事を表記していただけたら幸いです。楽しみにしています。 (2019年10月5日 14時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - ちぃ汰。さん» ひたすら毒素の詰め合わせ、と言う短編集にて毒素の話として書こうと思っています。よろしければ閲覧していただけると幸いです。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 絶対匿名03さん» コメントありがとうございます。続きを書いていただけるのでしたら是非拝見したいです。もしよろしければどちらの作品で書かれるのか教えていただけないでしょうか。ありがたいお話ありがとうございます。 (2019年10月5日 12時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - リクエストではないのですが、シリーズ最初のApple Tarteの49話(キュラソーを濁らせて)の話の個人的な続きを書きたいのですが、よろしいでしょうか?なるべく作風や元の口調等が崩れないように注意するつもりです。ご返答よろしくお願いいたします。 (2019年10月5日 8時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 暁さん» こんなに長く読んでいただけてるのを知れて嬉しかったですよ、本当に! こちらとしては皆様のコメントはとても励みになるのでありがたいです...! 是非またリクエストでもなんでもコメントして下さると嬉しいです。 (2019年9月5日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2019年6月22日 0時