【d!】Lemon Cake【短編集】

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ガンッ！






例えるなら、まな板に摺り子木を叩きつけるような音。そんな音だった。



『！、〜っ、ぅあ゛、ック...、』



脂汗をかきながら必至に声を堪える姿が実に艶めかしかった。情事の時を彷彿させるその苦悶の表情に俺も熱い溜息が出る。甘やかすように額に口付けてやれば柔らかいシャンプーが香った。



「偉いですね。避けなかった。」



『く、う、』





喉が引き攣るような音を出している。


あまりにも苦しそうなのでしょうがなく外してやった。
思ったより強くやりすぎたみたいで、外した掌からは、ぼたぼたと赤い液が水に滴り落ちた。




「Aさん、見ててくださいね」



『っ、ひ、』



剣山を外して、受け皿の水に口を付けた。
ほのかに香る鉄が心地良い。これから俺の五臓六腑にまで染み渡り、文字通り血となるのだろう。



『や、やめ、汚いよ』



「汚くないです、すっごく美味しかったですよ」




今俺は世界一いい笑顔を浮かべているに違いない。
そりゃそうだ。だって世界一の幸せものだから。




「俺の願いは、隅から隅まで貴方と共にいること」





だから、Aさん。

いつか貴方も俺の血肉を食らってくださいね。







________…





タイトルと針のイメージをお借りして作成させて頂きました。

お恥ずかしながら狷介という言葉を知らず、検索にかけて...という形に。とりあえず自分中の(愛の)正義を貫き通してもらいました。

鵯様、リクエストありがとうございました。

素晴らしい作品、常々読ませて頂いております。
尊敬する作者様からのリクエスト、しかもリメイクという形でなのでかなり緊張しました。

作品を汚すようなことになっていないと良いのですが...。

何かありましたらご連絡ください。

素直なお前は犬っぽいな【ni】→←▽

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