ちゃんとしてよね【ut】 ページ32
※ゲロ甘。
＿＿＿＿＿＿＿＿…
『さぶい〜、ただいまぁ、』
間延びした自分の声が響いた。思ったより大きく出してしまってはっ、吐息をのんだところで廊下先のリビングに繋がるドアが開いた。
｢おかえりぃ、遅かったなあ｣
暖かい空気を連れてこちらへ歩いてくる彼はこれまた暖かい手で私の頬を包んだ。冷たァ、なんて言いながら頬をすりすりと撫ぜられると、じんわり温まっていくのが心地よくてされるが儘になっていた。彼の手はある程度体温を分け終わると私のマフラーを外し、そのまま私の手を引いて導いた。
『ゲームして待ってた？』
｢そりゃもう。Aは？ご飯美味しかった〜？｣
『うん、お腹いっぱい食べてきた。』
｢ええねえ、今度俺とも行こな。…もー、あんなに身体冷やして、車で迎えに行って良かったんやで？呑むの我慢してたのに。｣
『え、それはごめんね。早くいえばよかった。』
私がもう飲んでいいよと言えば、Aと話したいから今日はやめとく、と、彼は甘い言葉をさらり吐いた。
しかしそれに照れる暇もなく、次の言葉を拗ねた声で吐き出した。
｢…ちょっと、疑った。俺に迎え来て欲しくないんかなって。｣
『うん？』
｢…別の男と、いたんかな、とか。｣
『ねえ、それ本気で言ってる訳じゃないよね？』
少し怒気を含めて言えば彼はシュンとして、うん、ごめん、とぽつりと言った感じで呟いた。ソファに座って俯く彼は、不満げで、でも自分の非も分かっている、と言った様子の子供のようだった。
『もー、そんな悲しいこと言わないでよね。』
｢だって、頼って欲しいし、不安になるやんか、好きなんやもん。｣
『だって、じゃないでしょー？信用ないのは本来どっちの方よ。』
う、と黙り込んだ彼の頬を、さっきのお返しとばかりに包んで目線を合わせる。一瞬目を見開いたあと、目を瞑って私が顔を被せるのを待っている。それがあまりにも単純で可笑しかった。
｢！痛い！！｣
『次そんな事言ったらビンタするわよ、今日はデコの指ペち程度で勘弁してあげるわ。』
ケラケラと笑いながら彼から離れ、温かい飲み物を用意しようとしたが、彼の手がそれを邪魔する。
ソファの上に座る彼の上に斜めに凭れるように倒れ込めば彼の不機嫌そうな瞳がこちらを射抜いた。
｢…いやや、待っとったのに。ちゃんとして。｣
盛大な殺し文句を吐いた彼には頭が上がらない。
＿＿＿＿＿＿＿…
前話との落差。
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ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» 毎度のコメントありがとうございます。お待たせ致しましたことお詫び申し上げます。感想もありがとうございます。期待以上の感想を頂けて言葉もありません。続編前向きに検討しておりますのでどうかその時はよしなに。私もあなたのファンでございます。ありがとちゅき() (2020年5月12日 10時) (
レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 夜分遅くに失礼致します。更新の方心待ちにしておりました、そして相も変わらず、否それ以上に素晴らしいお話に胸が苦しく、また切なさが込み上げました。良ければ続編をと思いますが作者様の手が動く限りで構いません。私は何時までも貴方様のファンです。とりますき() (2020年5月12日 0時) (レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色 逆音さん» とんでもございません、しっかりと寝てましたすいません...。ありがとうございます...。勿体ない言葉...。 (2020年1月28日 8時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色 逆音(プロフ) - 夜分遅くに大変失礼でしょうが...これだけ...好きです。 (2020年1月28日 3時) (レス) id: 9e136fef77 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 夢川さん» いえいえ、全く気にしておりませんのでそんなにお気を使われないでください！感想頂けてとても嬉しいです。星の子一家に一人要りますよね笑 こちらこそリクエストありがとうございました。よろしければまたリクエストしてくださいね。(お仲間でしたか笑) (2019年11月5日 20時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2019年10月6日 18時
