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「お待たせ」
イヌピーからツーリングを誘われてライダースを羽織った。
「ん。乗って」
自分のヘルメットを被り後ろに乗った。
「イヌピーの後ろに乗るの初めてだね」
「名前」
振り返って頬をつねられた。
イヌピー呼びはココくんしか許してないらしい。
「青宗くん」
呼び方に満足したのかバイクを走らせた。
ツンケンした態度とは裏腹に優しい運転に安心出来た。
「青宗くんどこ行くの?」
「海でも行くか」
「冬の海はヤバいでしょ」
バイクを走らせてついたのは一度だけ夏に来た海。
真一郎くんが乗せてくれてワカくんやベンケイくんと来た場所。
夏の喧騒と違い冬の海はガランとして寂しい。
「私が前に来たの覚えてたの?」
「あんだけ何度も自慢されたらな」
海に行ったのが嬉しくてまだ中学生だった青宗くんに何度も話しをした。
『オレも行きたかった』なんて不貞腐れた青宗くんに『高校生になって自分でバイク乗れる様になったらね!』なんてお姉さんぶった。
「ここら辺にあった海の家でかき氷を並んでたらいつの間にかワカくんは美女に囲まれててさ。真一郎くんがその美女に鼻の下伸ばすから思いっきり脇腹にボディ入れたら崩れ落ちて。よくあれで黒龍の総長やれてたよね」
青宗くんと並んで砂浜を歩いた。
「Aはまだ真一郎くんが好きなの?」
「もうあれから何年経ってると思ってるの?」
みんなして私には真一郎くんしか居ないみたいに言ってくる。
「ココとは?」
「ココくん?取引相手かな?」
「ホテル2人で行くの見たヤツがいるって」
「青宗くんにはまだまだ早い世界かな」
「は?」
綺麗な顔の眉間にシワがよった。
「大人の付き合いってやつ」
「じゃあオレとも付き合ってよ」
「青宗くんはまだ子供だからなぁ」
「この間大人の付き合い教えてくれるって言ったろ?」
「んー。でも青宗くんを穢すのは気が引けるなぁ」
「Aは?」
「私はもう穢れきってるもん」
手を引かれて抱きしめられた。
出会った頃は同じぐらいの視線だったのにいつの間にか私の顔は青宗くんの胸に埋められた。
「Aは昔っから今もずっと綺麗だよ。ずっと真一郎くんに憧れてた。みんなが楽しそうに昔の話しをしてんだけど真一郎くんはいつも『そんなことあったっけ?』って気まずそうにはにかんでさ。でもAの話しをする時は表情が和らいだんだ」
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月華(プロフ) - 寧珠*さん» そんな初期から見てくれてたんですね!ありがたいです。こんな過疎地でねじゅちゃんの目に止まるなんて頑張って良かった!笑 (2022年9月30日 23時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 月華さん» 実は最初から読んでて、お気に入り登録も2人目とかだったような…ねじゅが月華さまの作品を読まないわけには参りません…! (2022年9月30日 19時) (レス) id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 寧珠*さん» コメントありがとうございます!!ねじゅちゃんに読まれてたのにはびっくりだけど気に入って貰えたなら良かった〜!続きもノープランだけど頑張ります!! (2022年9月30日 19時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 意味があるのかは不明ですが、読む度に評価いれるくらい好きです♡続きが楽しみだ…! (2022年9月30日 11時) (レス) @page42 id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 咲良さん» わーい!コメントありがとうございます!無理くりイザナと絡めちゃった!ここからヤンデレ始まるか!?全くのノープランです! (2022年9月15日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年8月19日 11時