自由恋愛【天竺】

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『正月何してる？』



クリスマスが終わりすぐに世間は一気にお正月ムードになって忙しなく動いている。



最近よくメールをする竜胆くんからだった。



『午前中は家族で初詣かな』



『着物？』



『毎年一応』



『昼過ぎ迎えに行く』



『デート？』



『天竺の集まりに連れて行く』



天竺の集まりは２回ほど行ったがすぐに出ていったり、外で待ってたりなのであまり詳しくは知らなかった。



『着物のままで来いよ』



最後にそんな言葉が送られてきた。



着物なんて動きづらいのにあんな危険な場所に行って大丈夫だろうか？



危なかったら灰谷兄弟は気まぐれなので、やっぱり獅音を囮にして逃げるしかない。



そんな考えを巡らせながらお正月のお節料理の手伝いを進めた。






１月１日



「明けましておめでとうございます」



着物に着替えて一番に父に挨拶に行った。



もちろんお年玉を貰うために。



「で、なんで獅音がここにいんの？」



「テメェのお節がどれだけのもんかと今年も見とかねぇとな」



ある年お節を食べない私に怒った母は今までの出来合いのお節料理から手作りのお節を作ると宣言した。



そして食べない私も、もちろん巻き込まれて一緒に作る羽目になっている。



しかし作り出すと意外と面白いもので飾り切りだったりをネットで調べて毎年楽しく作るようになった。



自慢したかっただけの獅音がその後毎年食べに来るようになったのは大誤算だったが。



しかもちゃっかり父からお年玉まで貰っている。



「今年の黒豆うめぇじゃん」



「ほんと？それ自信作！」



お節を食べながらお雑煮を啜って朝ごはんを終えると家族で初詣に向かう。



前に獅音が一緒に行ったら不良に絡まれて両親が青ざめたので、一緒にいると碌なとこが無いと次の年から獅音は辞退する事になった。



お節も辞退してくれていいのに。



着物姿も毎年着物を買い替えるわけはないので見慣れている為、何も言わない。



もちろん獅音に褒められたいわけがないので「可愛い」とか言われても気持ち悪いので遠慮しよう。



万次郎達は毎年年越しを仲間と過ごしてるらしく、初日の出の写真が送られてきていた。



神社に行くと見知った顔があり、母達から離れて駆け寄った。



「イヌピー！ココくん！」



「Aか」



意外に周りの不良達はしっかりお参りに行ってることにニヤついてしまった。



二人の着物姿に頬が緩み携帯で写真を撮った。

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