訪問!ψ木夫妻5 ページ9
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「あ、大丈夫ですよ。ちょっと飛んでみますね」
身体の力を抜くと、フッと身体が浮き上がる。
制御装置が付いているものの、私の運動神経は壊滅的なので、浮かぶのはテーブルの高さくらいまでにしておいた。
おお、やっぱり制御装置があると力が抑えられて真っ直ぐ飛べる!
一人で感動していたが、ハッと気が付いて周りの様子を見た。
「おお!飛んでる!!じゃあ、他の物も浮かばせられるのかい?」
「あ、いえ。それは多分、サイコキネシスがないと出来ません」
「すごいわ〜!天使みたい〜!その超能力を使って、遠くまで行けたら素敵ね〜!」
「い、いえ、それは私が運動音痴なので出来ません」
「そっそうだよねぇ!運動音痴じゃなくても難しいと思うよ!もーママったら〜!あー……あ!でもさ!ピー◯ーパンみたいに手を繋いで飛べる、とか……」
「……グスッ、ごめんなさいい……出来ません……うぅっ、」
「あー、パパ泣かせた〜」
「え゛ぇっ!?いやいやいや!!はっ羽純ちゃん!出来なくても全然問題ないから!てか普通の人は出来ないから!」
「そう、そうよ!私達くーちゃんで見慣れちゃったから、ちょっと麻痺しちゃってるのよ!だから泣かないではーちゃん〜!」
「あー、その顔ほんとたまんない。もっと良く見えるようにして」
「もう!空助お前は黙ってろ!」
自分のあまりの不甲斐なさに思わず泣いてしまったが、斉木さんの怪しい目線に涙が引っ込んだ。
二人のせいではない事を主張して、なんとかその場は落ち着いた。
「はーちゃん、ほんとにごめんなさいね〜」
「ごめんね羽純ちゃん……」
「そんな!とんでもないです!こちらこそ泣いたりしてごめんなさい。自分の不甲斐なさに悲しくなっただけなので、お父様とお母様のせいではありませんよ」
二人ともなんて優しいんだ。
後ろでニヤニヤしてるMッドSエンティストとは大違いだ。
「不甲斐ないなんて事はないわ!だってくーくんと一緒に、沢山研究してるんでしょう?すごく努力してると思うわ」
「むしろ空助のレベルに付いて行けてるのが驚きだよ……」
「お母様、お父様……ありがとうございます」
努力している点を褒められて、思わずふにゃりと笑みが浮かんだ。
泣いたり笑ったり忙しいな私。
両親の職業や私の研究者としての実績、容姿を褒めてくる人は沢山居たが、全く心に響かなかった。
私自身の頑張りや努力に注目して、認めてくれる方が何倍も嬉しいのだ。
斉木さんが比較的真っ当に生きているのは、やはりこのご両親の育て方が良かったのだろう。
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時