暴走少女の誤χを解け2 ページ30
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「ほんとにさ、君のソレ演技じゃないんだよね?本気?」
「……演技?では、ないですが」
「わ〜、本気だね」
ハハッ、と斉木さんは乾いた笑いを浮かべた。
また私は何かやらかしてしまったのか。
どうしようかと焦っていたら斉木さんが、ふー……と深く長い溜め息をついた。
……これは、完全に呆れられてしまったのだろうか。
もう『手を出す』価値もない、と。
しつこいし、いつも何か勘違いして、やらかして迷惑掛けるし、私と居るメリットが斉木さんにはない。
もう弁解の余地はない。
胸が締め付けられるように苦しくなる。
また流れ出そうとする涙が見苦しく感じ、下を向いて隠す。
しかし斉木さんの手によって、グッと顎が引き上げられ、強制的に目を合わせられた。
涙でぐちゃぐちゃの顔なんて、見られたくない。
斉木さんの表情はいつものアイカルックスマイルではなく、真剣なものだったが、どこか余裕のないものだった。
ごく、と斉木さんの喉が動いた。
「、もしこれが全部演技だとしたら、君に拍手を送りたいね」
「っごほ、だから、違います、」
「だろうね」
咳が治まらないが、斉木さんの顔の前で咳き込む訳にもいかず、片手で口を抑えながら話す。
斉木さんはフッと鼻で笑いながら、私の頬を伝う涙を手で拭った。
……なんか、呆れられて、なさそう?
いや、これは私が泣いているからかも知れない。
斉木さんは、私の泣き顔が『そそる』と大変気に入っているのだ。
「とりあえず、僕が言いたかった事の内容を恐らく君は勘違いしてるよね」
「そ、んな事」
「あるね。現に勘違いして、無理して体調を崩してるし」
「っ、」
「君はよく『自分が頑張ればみんな幸せ』みたいな感じの話や雰囲気出してるよね?」
「え?そう……ですか?それに、頑張るのは当たり前だと、」
「君のその『頑張り』が極端なんだよ。抱え込んでキャパオーバーするのは非効率的だから、その考えを直せって話をしようとしてたんだよ」
私は斉木さんの事ばかり意識しすぎて、以前より研究の進みが遅れて「恋愛脳女はいらないから」と呆れられるとばかり考えていたが、まさか、その逆だったとは……。
つまり、私は斉木さんが「頑張り過ぎるな」と言おうとしてくれているのを阻み、一人突っ走って、結局体調を崩しているという事だ。
……自分の視野の狭さが嫌になる。
嫌われたくなくて行なっていた行動が、全て裏目に出ていたのか。
「かといって、君に頑張るなと言っても無理な話だろうから、そういう時は自分にブレーキをかけて今回みたいに頑張りすぎない事。いいね?」
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時