斉木空助のψ愛２【斉木楠雄のψ難】

暴走少女の誤χを解け ページ29

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言わないで、言わないで。

何か話を逸らしたい、ぼんやりする頭を必死に動かす。


「研究室！！……あの、私の研究室見ましたよね？ごほっ、ついに、完成したんですよ。円盤型飛行機、さ、斉木さんも見たいって、……はぁ、言ってた、」

「今はそっちの話してないよ」

「みっ、見てから！見てから、話してくだ、けほっ……そうだ、今から見に行きましょ、」

「行けるワケないでしょそんなボロボロで」


斉木さんの声色が、いつもと少し違う。
若干固く、怒気を含んだような声だ。

無様に悪あがきしようとした私に苛立っているのか。
ああ、今のでまた更に呆れられてしまった。

緊張と焦りからか、どんどん頭はクラクラしてくる。
呼吸が浅くなり、手が震えている。


「いや、嫌です！……ごほっ、ん、っ私！次からはきちんと体調管理もします、はぁ……っ、もっと、もっと研究を進めます！頑張ります、頑張りますから！」


だから、だから。


「嫌いにならないで、ください」


言葉に出して言うと、昂ぶっていた感情が溢れて、目から涙が出てきた。

一度溢れるともう止まらない。
次々と頬を伝う涙を誤魔化そうと、服の袖で目元を強引に拭いた。

ああ、これじゃあ捨てられまいと足掻く恋愛脳女そのものじゃないか。
「ホントに、しつこいし」と道端のゴミでも見るような目で見られ、斉木さんに捨てられるんだ。


「……あーもー、そういうの本当やめてくんない」

「……ごめん、なさい」
来た、頑張れ私。どんな言葉を言われても、衝撃に耐えるんだ。

「君さぁ、自分が熱出てて僕が手が出せないの知ってて、こんな事してるんでしょ？」


……衝撃だ。斉木さんは、私に『手を出す』つもりだったのか。
熱で良かった、とブルリを背筋を震わせた。

女性に暴力なんて、斉木さんは確実にしないと思っていた。

いや、それほど私が苛立せたからだろう。
きっと暴力は私にだけだ。
熱だろうが関係ない、かなり怖いが甘んじて受け入れよう。


「手、出してもいいですよ」

「……何言ってんの。熱あるんでしょ」

「私の責任ですから、ごほっ、訴えたりしません」

「そういう気持ちでされても、何も楽しくないから」

「……好き好んでされるのは、中々私にはハードルが高いです」

「そう？君好きそうだけど……、なんかおかしいな。……もしかして、僕が暴力をするって意味で『手を出す』と言ってると思ってる？」

「……え？はい、っけほ、あ、大丈夫ですよ。普段の斉木さんを見てたら、他の女性には手を上げない、事が証明できますから」

「…………、」

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