集中!ψ能を鍛え上げろ5 ページ28
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田中さんは、私の肌にじんわり滲んだ汗を濡れタオルで拭いながら答えた。
斉木さんに私の甘え顔が効かない事を知った田中さんはご満悦の表情を浮かべた。
ジトッと睨むが、何も効果はない。
首を持ち上げられて、氷枕が新しい物に手早く替えられた。
ベッドに戻されると、冷んやりとした感覚が首に伝わってくる。
「とりあえず私はお粥でも作ってきますから、ちゃんと空助様にお礼を言うんですよ」
「……お、礼?」
「そうですよ!誰が倒れてる羽純お嬢様を運んだと思ってるんですか?」
確かに、田中さんを含めお手伝いさんは研究室に入れない。勿論両親も。
14歳の時、丸一日飲まず食わずで出てこなかった時は流石に突入されたが。
研究室に入れるのは、ただ一人だ。
「ちょっとは元気になったみたいだね」
「さいき、さん」
「どうしてここにって顔だね。12回電話しても出なかったから、これは何かあったなと思って来たんだよ。案の定、この有様だ」
「うちのお嬢様が、ご心配ばかりお掛けして申し訳ありません」
「慣れてますから、大丈夫ですよ」
「……」
田中さんは申し訳無さそうに斉木さんに伝えると、カートを押して部屋から出て行った。
……なんだか私は、斉木さんに迷惑と心配しか掛けてない気がする。
何をしてるんだ私は。
ビックリするような発明をして斉木さんに見直して貰う所か、これじゃあ幻滅されてしまう。
「ご迷惑、お掛けしました」
「そーだね」
流石斉木さん、一切容赦がない。
「私、結構寝てたんですね」
「僕が倒れてる君を見つけたのが11時15分で今は16時23分だから、少なくとも5時間8分寝てたね」
「そうですか……」
じゃあ斉木さんは私が起きるまで、ずっと待っていてくれていたのだろうか?
チラ、と斉木さんが座っていたであろう場所を見ると、PCや書類が置かれていた。
ここで作業をしながら待ってくれていたようだ。
うう、どんどん迷惑を掛けている……。
「ご心配お掛けしました。薬を飲んで安静にしていれば落ち着くと思うので、研究に戻って頂いて結構ですよ。……んん、げほっ、ここに居ると、私のウイルスに感染しちゃいますし……」
「……君が研究室に篭る前に、僕が言おうとしてた事、言っていいかな」
「え、」
嫌だ。選りに選ってこんな弱ってる時に言わなくったっていいじゃないか。
「あのさ、」
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時