逃避行にはψ心の注意を3 ページ13
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呼吸が落ち着いて、ようやくハイヤーの前まで着いた。
運転手は私が斉木さんではない怪しげな男に連れられているのを見て、誘拐かと勘違いして通報しかけたが、軽く事情を話してハイヤーに乗り込む。
「とりあえず、市内まで逃げれば大丈夫そうですか?」
「うん。本当に助かったよ、ありがとう……」
彼は心底安心したように、顔を隠していたサングラスなどを外していく。
「うっ……なんですかそのオーラ的なやつ。すごい眩しいんですけど、」
「ええ?嬉しいな、芸能人っぽい雰囲気出てるかな」
「雰囲気っていうか、物理的に出てますよ」
うーん、確かにイケメンだ。
青い髪に、意思の強そうなツリ目。細身で高身長。
顔を見ると、思ったより若そうだ。少し年上くらいだろうか。
そして物理的に光るオーラ。
なんなんだそのオーラ。どこから出てるのか非常に気になる。
あの女性達が、熱烈に追っかけをするのも分かる気がする。
……まぁ、斉木さんには敵わないですけど。
ああそうだ、斉木さんに連絡しなければ。今度こそ連絡しなければマズイ。
……着信82件……ああマズイ……。
どう説明すれば……。
「え……ていうか反応それだけ……?」
「あー、ごめんなさい。私貴方の事知らなくて……」
今話し掛けないでくれ。必死に斉木さんの対処法を考えているんだから!
「知らない!?……のは、イギリスにいるんだろうからまぁしょうがないけど、もうちょっとトキめいたりとか!しない?」
「有名人だかなんだか知りませんけど、ちょっと黙っててもらえます?」
ごめんなさい。今少し考え事してるので……。
「だっ!黙っ……!?黙ってて!?」
「……あ、ごめんなさい。心の声の方が出ちゃいましたね」
「い……言われた……!俺が一生言われないであろう言葉ランキングの第7位を……!!」
「……、」
ホントにうるさいなこの人。
段々と自分の口調が荒くなってきているのに、彼は気が付いているのか。
あの追っかけの集団に放り込んでおけば良かった。
今度こそ、斉木さんにメールか電話をしようと端末を操作し始める。
すると、持っていた端末を奪われた。
「ちょっと!」
「携帯イジる前に、ちょっと見てみろ!ホラ!俺が一番輝いて見える右斜め45度の角度でもう一回見てみろ!」
「……」
「どーだ?あまりのイケメンっぷりに胸の高鳴りを感じるだろ?あっでも間違っても惚れるなよ!?俺にはマイスイートエンジェルの心美がいるからな!」
やっぱり放り込めば良かった。
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時