逃避行にはψ心の注意を2 ページ12
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あまりにもたどたどしい英語だったので、思わず口を開いた。
「あの、日本語で構いませんよ」
「え゛っ!?君日本人!?じゃあ僕の追っかけ……?」
「国籍は日本ですが、貴方の追っかけではありません」
というか、追っかけ以前に貴方の事知らないですし……。
彼は追っかけがいる程の有名人なのか。
帽子とサングラス、マスクにストールで顔が全く見えない。
少し暑くなってきた6月に見合わない姿だ。
有名人というより、寧ろ不審者に見える。
「そ、そっか……。あ、でさ、暫くちょっと隠して貰えるかな?」
「こんな所に座ってても、すぐ見つかってしまいますよ?」
「あー……だよね。僕ロンドンに来るの初めてで、一応調べてきたんだけど、いざ来てみると全然分からなくてさ」
「……つまり、私に案内して欲しいと?分からなければ、スタッフの方呼んできましょうか?」
かなり面倒臭そうな人に絡まれてしまった。
なんとか回避したいので、近くにいるスタッフを呼ぼうとする。
「ちょ、待って!ごめん、……僕英語苦手で、出来れば日本語話せる君にお願いしたいんだけど……」
「あー……、」
英語くらい頑張れ有名人。
とりあえず電話中の斉木さんに事情を話した方がいいと思い、「ちょっと待って下さい」と彼に伝えて端末を操作する。
すると、キャーッと一段と甲高い声が聞こえた。
彼は過剰なまでに肩をビクッと震わせた。
後方を見ると、彼を見つけて悲鳴を上げながらこちらに向かってくる女性の集団が迫っていた。
「ッゲ!もうバレた!」
「〜っもう!しょうがない!走りますよ!!」
結局斉木さんに伝え損ねてしまった。
だが、猛烈な勢いで近づいてくる女性達の中に彼を放り込むのは後味が悪い。
ガッと腕を掴んで、近くのエレベーターまで走り出した。
腕を掴んだ瞬間、女性達が悪魔のような怒声を叫び始めた。
なにこれめっちゃこわいんですけど。
「ど、どこ行くの!?」
「とりあえず、市内に、逃げ、ましょう……ッ、ハイヤーを、待たせて、あるのでっ」
「息すごい上がってるけど大丈夫!?」
貴方が走らせてるんでしょうが!!
と言いたい所だが、久しぶりの全力疾走で息が切れ切れだ。
ハイヤーが待っている空港の駐車場まで走っている間、あまりの騒ぎに空港職員が後ろの女性達を抑えていた。
いかつい空港職員に厳重注意されて、少しは反省してくれるように願う。
一旦走るのを止めて、荒い息を整える。
彼は息一つ上がっておらず、こちらをちょっと引いた目で見ていた。
誰のせいで走ってると思ってるんだ……!!
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あああ - 30ページ、アルカイックスマイルじゃないですかね、、、? (2020年4月3日 18時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - いふれんさん» 改造人サイダーマン2号は、まさかのあの方です笑 (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
いふれん - 遊太君が言う、改造人間サイダーマン二号ってま、まさか……あの人か (2018年8月27日 16時) (レス) id: 083c75066f (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - ポエムさん» なんと…!嬉しくてつけ上がりそうです(笑)空助さんらしいとかホント嬉しいです!羽純まで可愛らしいなんて言って下さってニヤニヤします…!応援ありがとうございます! (2018年8月17日 17時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - やばい…めちゃくちゃ面白いです…!!空助がまさに空助らしい口調で最っ高…羽純さんもとても可愛らしいです…!陰ながら応援しております…!!! (2018年8月16日 21時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月15日 17時