page57 虹 ページ9
朝、Aはベッドに横たわりながら楽譜を見つめていた。「shooting star」の楽譜だ。
A「………ここで、ジャンプ…」
ボソボソと独り言を言っていると、窓から光が入ってきた。よく見ると色がついている。
身体を起こしてベッドから降り、そっと窓を開ける。
A「………虹…?」
空には虹がかかっていた。Aの瞳に7色の光が映る。その時、1つの光景が頭の中で再生された。
足下は7色の虹が、隣には優しく微笑む少女が立っている。やがて周りがキラキラと輝き、同時に少女が口を開いた。
「「…を……め……さ…る……………と…が………」」
記憶の中の少女と言葉は曖昧で何を言っているかは分からない。目の前の世界が光に包み込まれた。
A「……!」
目をあけるとそこはAの部屋だった。
自分が床に倒れていることに気付き、頭に少しの痛みを感じながらも起きあがる。窓の外を見ると、さっきまで見えていた虹は消えてしまっていた。
A「………今のは…一体…」
あれは失っていた記憶の一部…?あの女の子は誰なんだろう…
疑問に思う事がたくさんあったが、あの7色の虹がかかった空もAの目にしっかりと焼きついていた。
A「………(なんか、元気出たかも。)」
窓の外を眺め、たそがれているとドアをノックする音が聞こえた。そのあと穏やかな声がAの名前を呼んだ。
「Aちゃん。起きてるかな?そろそろご飯の時間なんだけど…」
声の主がコウジだと分かり返事を返す。
A「はい、すぐいきます…」
今日は、いつもよりもいい日になりそうだ。
記憶も早く、戻るといいのにな…
身だしなみを整え、Aはコウジの部屋に向かった。
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時