page95 動揺 驚き 謎の言葉? ページ47
ーコウジsideー
夕食の片付けをしながら、ふと時計を見た。
8時半…そろそろAちゃんは練習してるかな。そういえば、僕たちも高2になるのか…
あっという間だなぁ………
「コウジさん?」
穏やかな声でコウジの名を呼んだのは、鷹梁ミナト。同じく夕食の片付けに来たようだ。
コウジ「やぁ。お疲れ様。待ってね、そろそろ終わるから。」
ミナト「あの…コウジさん。どうして最近、食堂にいらっしゃらないんですか?」
コウジ「えっ。」
不満そう…というか悲しそうな顔をしてミナトは尋ねた。唐突な質問に動揺しながらもそれを態度に出すことはなく、いつもの口調で答える。
コウジ「いやぁ、最近オバレも仕事が増えてきてさ。ソロで出させてもらうこともあるから3人で会う機会が少なくなってきたんだよ。」
ミナト「仕事…」
コウジ「そう。だから話せる時に話しておかないとね。そろそろ食堂にも戻ろうかなとは考えてるんだ。後輩の顔を見れなくなるのも悲しいし。」
ミナト「そう、だったんですね。すみません…」
コウジ「いやいや大丈夫だよ。いきなり食堂に行かなくなったし、気になるのも仕方ないよね。」
いつも通りの笑顔を保ちながらも、コウジの気持ちは真反対。焦りしかなかった。
わぁぁぁミナトこれ以上は聞かないでえええ!
Aちゃんの事ばれちゃう!
早く、この場から離れようっ。
コウジ「じゃあ、またね。皿洗い頑張って。」
ミナト「あ、はい。ありがとうございます。」
はや歩きで台所から出る。自然と足は自分の部屋に向かっていた。
コウジ「はぁぁ…焦ったどう答えようかと思…」
角を曲がろうとすると、目の前にAが現れた。
「「わあっ!」」
2人で声をあげる。
コウジ「わ、びっくりした。ごめんね。これから練習?」
A「こちらこそごめんなさい…。あの、はい。今日は9時からで…。」
コウジ「そっか。ヒロもさっきまで仕事だっ…」
ピロンッという電子音がコウジの言葉をさえぎった。
コウジ「ん…?スマショ?」
A「あ……すみません…」
Aは荷物からスマショを取り出し画面を確認した。すると、少しだけ目を見開いた。
A「あん………」
コウジ「あん?」
今度は急に顔を上げた。
A「すみません、時間なので。また…」
コウジ「ああ、うん。頑張ってね。」
小走りで立ち去るAの後ろ姿を見ながら、コウジはさっきの言葉を思い返していた。
コウジ「あん…?」
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時