page93 はぴなるクッキー ページ45
「おはよう、あんちゃん!」
朝、春休みの部活に向かっている途中で声をかけられた。もちろんそれが誰なのかは聞いてすぐに分かる。
「なる。おはよ!」
ピンク色の髪を内側にカールさせ、満面の笑みを向けているのは彩瀬なる。大事な仲間だ。
朝から元気いっぱいのなるに、いつもパワーをもらっている。
なる「あんちゃん、今日もスイーツ作るの?」
あん「あ、実はね…」
鞄の中から1つ、包みを取り出す。
あん「じゃーん!今日早起きして、クッキー焼いてきちゃったの!良かったら食べて。」
なる「わあああ!美味しそう!ありがとうあんちゃん!」
なるはクッキーの入った包みを受けとると、キラキラと瞳を輝かせた。
あとは いとに渡して…それから………
鞄の中にはまだクッキーが残っていた。それも2つ。
なる「あれ、あと2つも残ってるんだね。誰にあげるの?」
あん「ふふっ。なーいしょ!」
なる「えええええー!」
そう言うとなるはがっかりした顔をした。
あん「今度教えてあげる!それじゃ、先行くね!」
なるに別れをつげて学校に向かう。その足取りはいつもより軽かった。
午後、あんはこの間の公園に1人で向かった。まだ明るい時間帯で、Aに会ったのもこれくらいの時間だったはず。
公園につき、辺りを見回す。
あん「うーん…さすがにそんな簡単には会え…」
諦めかけたその時、またあの歌が聞こえてきた。
あん「あっ。」
その声が聞こえる方に歩き出す。
あん「(…あれ、この曲どこかで…)」
その時、ガサッと音がして、目の前の人物と目があった。
「「あ。」」
声の重なったその人は…
あん「A!」
A「福原、さん…」
まさか本当に会えるとは思っていなかった。
あまりの偶然に2人とも目を丸くする。
あん「すごい偶然だね!まさかとは思ったけど…」
A「そう、だね…。あの、マフィン、美味しかった。ありがとう…。」
少し照れくさそうに言ったAを見て、あんは自然と笑顔になった。
あん「本当!?ありがとう!良かったあ。そうだ!これね、今朝焼いたばかりなの。味には自信あるよ!」
そう言ってAにクッキーを渡す。
一瞬驚いたような顔をしたAだったが、すぐに優しく微笑んだ。
「………ありがとう。」
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時