page92 まるであの少女のように ページ44
ーあんsideー
今日はちょっと嬉しい事があった。知りあいが1人増えたのだ。
学校帰り、少し立ち寄った公園から歌が聞こえたと思ったら………
あん「不思議な子だったなぁ。まるで…」
「どうしたの?あん。またスイーツ作ってるの?」
母親がキッチンにやって来て、独り言をつぶやいていたあんに声をかけた。
あん「あ、うん!今ね、レアチーズケーキ作ってるから出来たら持っていくね!」
笑顔で答えたあんを見て、あんの母もにこりと笑みを向ける。
「そう。楽しみにしてるよ。」
母親が出ていったあとも、スイーツ作りに専念しながらあんはさっきの出来事を思い出していた。
彼女の透明感のある歌声と、自分を見つめるまっすぐで綺麗な目に自然と惹かれていった。少しただようミステリアスな雰囲気もあんは好きで、一目見て、友達になりたい。そう思ったのだ。
あん「うん、こんなレアチーズケーキって感じだった!」
完成したスイーツを見て、満足げに微笑む。
あん「あの子にも食べてもらいたかったなぁ。」
呟きながらケーキを口に運ぶと、口の中でクリームチーズの甘さが広がっていく。
あん「んんんんん!めちゃうま!」
自分で言うのもあれだけど、スイーツって本当に美味しい!なる達にも作ってあげれば良かった〜。
頭の中で、綾瀬なると凉野いとが自分のスイーツを食べて笑っている様子が再生された。
ふと、今はもういないあの子の顔も思い出した。
静かに微笑むその少女は、あんのスイーツを口にしてまた笑顔になる。
同時に、Aの顔も思い浮かべる。
口数が少ない彼女はどことなくあの子に似ていた気がする。
あん「Aもスイーツ食べたらああやって笑ってくれるのかな。」
2人の表情を想像して比べるとやはり似ているかもしれない。Aはまるで…
あん「りんねみたい。」
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時